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リキッド買ったらレビューしていうことにしよう。テイスティングノートみたいなものだ。
ワインのテイスティングノートをツイッターに書いていたこともあるのだが、段々公開するのが怖くなってきたのです。何せ素人のテキトーな意見だし。その点Vapeリキッドなら今ならまだほぼ素人しかこの世にいねえから好き勝手にものが言えるというわけですね!(クズ
ワコンダに引き続きタバコ系。WitchersBrew社のBlackbird V2。全体的に中二な感じのお名前大変にグッドです。

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「Blackbird」「黒鳥」と言えばタバコ系リキッド愛好家には定番と言われるほど人気の「Blackbird」のバージョン2だそうな。





こちらV1

ただ従来からのアップデートかと言えばフレーバーは結構方向性を変えているらしく、それぞれ好みが分かれるとのこと。

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フレーバーの説明は

「・マダガスカルバニラ+クリーム+柑橘類のお酒+タバコ」

となっており、ワコンダのようなコーヒー系ではない感じ。なお初代では「シトラス+コニャック+タバコ」だったので、ともすれば全然違う名前で売った方が良かったのでは、なんてことになるんではないかと思うけど、このニッチ業界で一度ヒットした名前を手放すことも難しいだろう。

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WitchersBrewは基本的にプレミアムなハンドメイドとオーガニックフレーバーを旨としているようで、ラインナップは少々高めの価格である。まあこれはこの手のニッチ業界では当たり前というか、マシンメイド、ファクトリープロダクトで作るような販売量でもなければ、特殊で高価な化学香料を使う余裕もないという実情の裏返しだろう、という諧謔的な視点を忘れるべきではない。

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色はかなり薄めの黄金色。

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ごたくは良いので吸っていきましょう。アトマイザーはGeekvape EagleでSS316シングルクラプトンコイル、MODはTeslacigs nanoです。

もっふーん

まず「タバコ系」という説明からはちょっと面食らう柑橘系のアタックにびびる。続いてまったりとした甘みとこってりしたバニラクリームのニュアンス、吐き出す頃にどっしりとタバコ系の渋みやリキュール由来の発酵風味が渾然一体となり、全体的にはオレンジの爽やかさでバランスをとったままふんわりと抜けていくといった感じ。
こいつは大変にオトナの味ですよ。まずこれらの要素がどれもとんがって目立っていると言うことがない。まあ口の中で転がしまくっているとだんだんとオレンジオイル風味が鼻について「ん?シールはがしスプレーかな?」みたいな境地は来るものの、吸ってすぐに「うわあシナモンフレーバーだ」「おおうコーヒー香料が」という、言われなくてもフレーバーそれぞれの素性がはっきりわかるよくあるリキッドとは一線を画している。甘みに至るまでグリセリンぽさや甘味料ぽさよりも、バニラやクリーム風味が抑制的に利いていて、ハチミツを思わせるまろやかかつ濃厚で奥深い甘みになっており高い完成度。いわば雑味とゆらぎの中の調和が保たれている。「あれのフレーバーとこれのフレーバーの味」という言葉でイメージまで説明できてしまうようなブレンドでなく「BlackbirdV2の味」というものをきちんと演出できている。

ではその「味」を説明しろと言われるとなかなか面倒だ。このオレンジリキュールとバニラカスタードクリームと煙草の組み合わせというのが渾然一体となった結果、オレンジ+発酵香+乳製品+バニラ+甘み+渋みが適宜組み替わり、特にハチミツ的な濃厚な甘さと果実味とリキュール風味の調和によって貴腐ワインのイメージが強く現れてくる。同時に発酵風味かVapeの熱したグリセリン風味かはわからないがミルキーな中にピリッとしたニュアンスが混ざるので、ブルーチーズか何かをあわせているイメージも浮かぶ。「貴腐ワインにオレンジを添えたブルーチーズをマリアージュし煙草を吹かす」という上等なデザートタイムである。年代物のディケムを傾けながらオレンジを添えたロックフォールを味わい、コイーバをくゆらすという世界観を志向しているのかもしれないが、そんな高級なもん飲み食いしたことあるわけないのでブルジョワ氏ねという感想しか浮かんでこない。
実際そのイメージがなくてもこれらの組み合わせはかなりビシッと決まっており、偶然に美味しそうなフレーバー混ぜてったらこうなったという産物ではあり得ないように思える。

初代から言われている「烏龍茶のような香り」というのを考察してみると、烏龍茶も発酵茶葉飲料であるからして微量ながらも「マスカテルフレーバー」などの果実のような香りが備わっている。つまりタバコの苦みと酒や果実という発酵香のニュアンスを薄めていくと、最後は烏龍茶のそれに酷似してくるのだと思う。
そこにV2はバニラクリームによるこってりやミルク感を付け加え、確かに烏龍茶にミルクを入れる奴はそうそういないので烏龍茶っぽさは消え去るし、調整することで上等なデザートタイムに寄せていったのだとすれば見事な手際と言うほかない。初代を吸っても居ないくせに勝手な考察をしている。


煙について言うなら、めっちゃ出る。ワコンダよりも遙かに爆煙もくもく木曜日といった感じだが、これは多分Blackbird V2が優れていると言うよりはワコンダは古いため昨今のサブオームアトマイザーでは上手く扱えないのではなかろうかという気がしてきた。なにしろ濃厚な煙が盛大に出てくれるので爆煙の楽しさの片鱗がわかってきた次第。
他のレビューによると天然成分由来のガンク(コイルに付着するリキッドの燃えかす)が溜まりやすいとのことだが、その雑味こそがこのリキッドのレベルを一次元高めているのであろうし割の良いトレードオフではないだろうか。一回吸ったら真っ黒とかそこまで溜まるわけでもないし。


そういうわけでBlackbird V2でした。間違いなくオトナの味です。ろくにVape経験無いのに断じるのもおこがましいのだけど、最初からかなり良いのに出会えた感じではなかろうか。