言わずと知れた(知らない)葉巻やシガリロのファンであるわたくしであるが、最近まったく吸ってない。
いや禁煙のような大それた話でなく単純に金銭的余裕がないだけである。タバコは値上がり手取りは下がり財布はポッケで薄くなり、モンテクリスト・クラブの甘き芳香は遠きに去って、ドギツいミントタブレットをかじりながら今日もキーボードをたたく。

もとより週一とか飲みの席でしか吸わなかったので、ニコチンの禁断症状などで苦しむ必要がなかったのは良い。あれは話によるととても辛い治療が必要らしいですね。何やら、鉄格子の部屋に軟禁され、自傷行為を防ぐためベッドに拘束したまま、まぶたを固定されて人工涙を垂らされながら、喫煙によってドス黒く腐り落ちていく肺のビデオ映像を強制的に見せられるんでしょう?(何か間違った認識)

趣味が枯れるのは悲しいものである。特に「興味を失った」以外の要因ならば。なぜかというと、欲望がいびつに抑圧されると、その代替行動として体は闘争を求め、なんとかいうゲームの新作が出るらしいからだ。違った。代替で別の趣味が生まれることがあるのだ。
あれ、それは本当に悪いのか。喜ぶべきことではないのか。だから金が減るんではないのか。わからない、俺には何も

わからないものは仕方ない。まずは買ってみる。

●Vapeとは

Vape!もしくは E-Cigarette!電子タバコ!電子シーシャとか言うほぼ誰も言ってねえ異名もあるぞ!

一言で説明するとタバコ的エキスを含んだグリセリン等のジュース(リキッド)を電熱で蒸発させ、水蒸気を吸う新世代タバコ。
「電子タバコ」の名目でアイコスが流行っているが、あちらはタバコ葉を熱で炙り気化した成分を吸うベポライザーの方式で、言わば電熱式のベポライザーの一種である。

そもそも「電子」とつくと
電子書籍から電子ドラッグまで、「ソフトウェア的なもの」を自然に想像する我々デジタルネイティブ世代からすると、Vapeもアイコスも、別にソフト上でタバコをシミュレートしているわけではなく、単に「電熱式である」ことを「電子」と称しているのだから野蛮な話だ。これではホシノ某や初音某のようなカリスマでなくともスタンガンを持つだけで「電子の妖精」を名乗れることになる。昨今の妖精さんは逞しい男性なども多いため「電子の妖精」=「スタンガンを持ってうろつくオッサン」というパラダイムシフトが起こるのも時間の問題だ。
じゃあ何か、電気炊飯器で炊いたコメは電子米か。年貢を納めるのも
オンラインで電子手続き可能なのか。これぞ電子マネーである。「仮想通貨としての電子米」の可能性を見た我々は、第二のビットコインバブルの波に乗るべく新潟の米農家へ飛んだ。つまり炊飯器は、南部鉄の羽釜だの土鍋だのを導入する前に、ブロックチェーンを導入すべきであって、水蒸気で炊く炊飯器に現を抜かしている場合ではないのだ。

水蒸気の話に戻ると、Vaporとは水蒸気の意味。Kickstarterとかに溢れているアレらはベイパーウェア、つまり実は実績や計画などは無くいつ雲散霧消するかもしれない実態のない製品で金儲けしようとしている例。そういう生臭さが漂ってくる話とは関係なく、単に水蒸気(Vapor)を発生させて吸うあたりから「Vape」である。漂ってくるのもフレーバーの良い香りである。



昨今の喫煙・禁煙に対する意識の高まりを受けて、副流煙や依存性、有毒物質の心配がない(とされる)安全なVape産業は右肩上がりの成長を続け、
今や「Vape」だけで「電子タバコを吸う」の意の動詞となっており、既にGoogle(検索する)並みの快挙を成し遂げている。ゴールドマンサックス調べでも有望市場とされているのだ(マジ)

保守的な本邦でVapeがひろく一般的に認知されるのはもう少しの時間が要りそうだが、既に「業界」は成立しており、英語圏に負けじとレビュアーやユーザー文化も豊かに育まれている。そしてなにより、いま初めて参入してみた俺の鼻には、いわゆる「キャズム超え前夜」デバイス業界の臭いがぷんぷん漂っている。いやいや信じなさい。iPhoneもGoProもドローンも流行る前に買ってた俺の鼻を信じなさい。

なによりこの業界の「趣味」はかなり日本人好みな気もする(あまり深くは触れない)。タバコの規制や値上がりも著しい昨今のこと、いずれ喫煙所に行くとみんな謎のデバイスから水蒸気を吸っているということになるかもしれない。

●Vapeを購入する。


というわけで謎のデバイスたるVapeのスターターキットを買うわけである。Vapeに必要なものは実のところ細々と分かれており
タバコ的エキスを含んだジュース(リキッド)
・バッテリーと操作部を備えるMOD。バッテリーは別売りのことも多い
・リキッドを入れて熱するアトマイザー
が主なところ。さらにアトマイザーのドリップチップ(口にくわえるところ)、中のコイル(発熱するところ)だのそれを自分でビルドするためのワイヤー(電線)だのコットン(綿)だの、さらにはMODに入れるバッテリーのメーカーだのなんだの、そういう細かいこだわりもたくさんあって奥が深い。

奥が深いと言うことは迷い込んだら死を意味する。ぶっそうなはなしだ。あのカメラ沼と呼ばれる魔の沼が何人の人生を飲み込んだことか。なので迷い込まないように正しく入門を行いたい。

入門を考えるなら逆にリキッド以外はすべてそろっているAll in oneモデルもいくつかある。小型で多くはペン型となっており出力や容量も控えめ。お試しならばこれがおすすめとなる。

そうでなくある程度はVapeアイテム選びを堪能したいならばModタイプのスターターキットなどがおすすめである。今最も一般的なVape入門機はiStick Picoというらしい。

ほかにも選択肢はたくさんあるが、何にせよ
スターターキットとバッテリー、好みのリキッドを買えばOKらしい。わたくしのような初心者に相応しい内容を選んでいこう。どのみち基本の物を一揃い買うことになるが、別のアトマイザーだの中のコットンだのは慣れてきてからドキドキして手を出してみる程度でいい。

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おう。

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なんか迷走してるうちにこうなった。
Vape先輩諸氏からは「初心者が入門用に買う内容では無い」との評を頂戴したが、失敬な話である。イキって中級者装備に挑戦して痛い目を見るなど初心者の王道パターンではないか。


Teslacigs nano 120W テクニカルMOD


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こちらは主流のTCRやカーブモードを搭載し広範な設定をマイセット登録できるなどの機能性をもつテクニカルMODでして、
出力は120Wと初心者向けなら余裕のパワー、ダブルバッテリーにしてはローパワーゆえ逆にバッテリーライフには期待が持てますし、USB充電が無いのが泣き所ですが、パフボタンが大きめでファイアしやすいチルト設置なのも個人的には

えーはい、すいません。見た目が100%で選びました。すいません。知ったかしました。
どうせ初めてのVapeレビューで大半が知ったかなので語彙を減らして暴論駆け足で行こう。MODは電池入れです。スイッチ押すと通電してアトマイザーが熱くなります。これは120Wあります。以上。

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いいーーーいですねこの装飾。「その装飾(エングレーブ)には何の戦術的優位性(タクティカルアドバンテージ)もないよ」とかボスに切り捨てられそうな無駄な装飾。今ならこのセリフも「よ」をつけるだけで全く別のボスの声が聞こえてくるが何の話だったっけ。

「スチームパンク」志向とのことだけどメーカーは微妙にスチームパンクを勘違いしている気がする。というより西部劇風と言うか、「こういう写真のSCPあったよな」という感想のほうが大きい。

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レビューはいいけどはじめてなので比較対象も何もない。皆買ってるiStick picoと比較すると流石にダブルバッテリーだけあってかなり大柄。握りこみやすい存在感のあるサイズではある。
本体重量250gとかなり鈍器じみた数字である。握りこんで打撃を加える用途にも使えるのではないか。

このサイズと重量の金属塊となると、下手にアトマイザーやスマホと一緒に鞄に放り込むのは危険な領域。専用ケースが要るのでそのうち自作しよう。

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操作部。電源のスイッチが独立式なのはありがたい。一般的なmodはパフボタンを五連打する必要がある。誤操作の危険と言うが、スイッチは結構固い。固いものと擦れ合ったりすると危険かもしれない。

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スイッチ含めて全部メタル。手に馴染みますなあ。パフボタンが前述通り斜めについているので押しやすい。

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バッテリは18650を二本。プラスマイナス標記が奥にある。


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アトマイザーを付ける510スレット。スレットとボディがツライチ過ぎてアトマイザーを付けると傷つくとのこと。まあどんどん傷つけていきましょう。MODの幅は25mmアトマイザーがぴったり。

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全体として、多くのメタルMODが目指しているところであろうと勝手に想像する「ジッポライター感」はしっかりとある。ゴチゴチの金属塊ボディは手で転がしていても満足感が高い。

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ソフトウェア的には今時のTCR対応機のスタンダードでカーブモードもあり多機能の域。らしいよ。(知ったか)
普通のワッテージモード(この製品的にはカンタルモードらしい)からニッケル、チタン、SS、TCRと一通り揃えている。らしい。
というかここら辺のチップや中身や液晶って、他社もおおむね同じもん使ってる気がする。ちょっと調べてみると高級品とされるEvolv社のDNAチップや中国メーカーに多いSXシリーズなど「定番の基盤」はいくつか存在するようだ。液晶はもちろんボタン位置まで共通しているのはそういうことらしい。ということは大部分の「名無しのチップ」もどっかの同じものを仕入れている公板であろう。今時こんなところを自社開発という時代でもあるまい。

iStick picoにはないカーブモードだが、つまり
パフ10秒間の出力遷移を設定できると。どう考えても特殊な事情無いと使わねえよなというイメージ。初心者が何を言うかと言われそうだが、いやガジェットギーク歴ならばそこらのVapeファンよりも上だ。こういうもんはどの業界でも、最初は高機能と持て囃されながらフェチのオモチャ以上の地位にはなり得ずひっそり消えていくんだ(断定)
カスタマイズ系は大体、「簡単操作で適正動作」が達成できないメーカー側の言い訳だと思っている。理想は「なんでもいいからコイル巻いて、アトマイザー付けるだけでMOD側でびびっとワット数からなにから適正値に調整される」ことではないのか。ちくしょうめ、なにが高機能だ…

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高機能性を全否定してしまったのでもはやMOD単体で語ることはあまり残されていないが、特徴的なのはマイセット機能。調整要素が多すぎてこんがらがるが、マイセット登録と呼び出しが可能なおかげでかなり扱いやすいのではないだろうか。「マイセット機能のないモンハン」などやる気がしない。


さてiStick Picoなどはたいていスターターキットとしてアトマイザーがついているが、本品はだいたいMod単体売りの様子。
上の写真見てもわかる通りちゃんと別途買ってありますのでそっちのレビューにいきましょう。

●GeekVape Eagle トップフロー サブオーム クリアロマイザー


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リキッド入れて水蒸気にして吸うところがアトマイザーで、ガラスタンク(ガラスじゃないのもある)ついてるアトマイザーがクリアロマイザーですよ。トップフローといって吸い口付近に穴が開いてて風通しがいいらしいですよ。サブオームは低抵抗という意味ですよ。以上。

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大部分のクリアロはこれでレビューできるのだが、Eagleのすごいところは別にある。

なんとこいつはクリアロでありながらじつはプリビルドコイルが載った事実上のRTAであり、もちろん自分でビルドしてもよいしデッキを購入するだけで簡単に、よくわからないです。

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つまり、リキッドを熱するコイルは消耗品の側面があるため、各社のアトマイザーに対応したコイルユニットを適宜取っ替える必要がある。一方で自分で土台にワイヤーを巻いてコットンを詰めてコイルを作る必要があるタイプもある。これがRBA(リビルダブルアトマイザー)。その中でタンク付きなのがRTAとかRDTA。タンク無しがRDA。

Eagleはこの中間というか、コイルユニットはデッキとしてバラ売りしているので取り替えるだけで済むのだが、そのデッキは「既に巻いてある
(プリビルド)手巻きコイル」を売っているようなモノで、それを買うもよし、自分で巻くもよしというおいしいとこ取りなのだ。そういう器用貧乏っぽいアイテムマジで好きなんです。

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付属デッキはどちらも0.2Ωで、HBC-S03はステンレススチールのシングル、ワイヤーは
スタッガードヒューズドクラプトン、HBC-D04はカンタルのデュアル、ヒューズドクラプトンコイルとのこと。わかった待ってくれいちから説明するいちから。

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まず抵抗値。大きければ大きいほど味が良いとされるが諸説あり。最近は低抵抗ブーム。
コイルの素材はカンタル線(良くある電熱器の線)とニッケル、
チタン、ステンレススチールなどがあり、一般的なのはカンタル。それ以外ではMOD側で温度管理モードを使って使う必要がある。
コイルは一本か二本巻く。シングルは味が良く出てデュアルは煙が良く出るとか言われる。
クラプトンコイルとは芯となるコイルワイヤーをコイルワイヤーでぐるぐる巻いたワイヤーで巻いたコイル。まあとにかくぐるぐる巻の二乗だ。煙がシルキーになるとのこと。
ヒューズドとかスタッガードとかいろいろややこしい巻き方があるらしい。以上。

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巻き方の違いが写真でわかるだろうか。

まあいきなりコイルを手巻きしてから始めることもない。初回はとっととプリビルドを利用してVapeするまでを目標にやっていきましょう。実際のところコットンは買ったので詰め替えがきくが、ワイヤーは買っていないしドライバーン用の板などもないので、手巻きはまだ先の話だ。

●SONY VTC5


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販売店のセットやスターターパック、または内蔵式MODなどを除くと基本的にMODにはバッテリーが付属しない。バッテリーはあまり日本国内の家電では馴染みのない円筒型のリチャージャブルバッテリーを別途購入する。
MODによって
18650や26650などのサイズを使い分けるわけだが、Teslacigs nanoは18650を二本使用。

見た目から想像するとおりこのタイプの電池はほぼバッテリーセルそのまんまみたいなもので、最低限以上の安全装置などはないため取扱方を遵守しないとよろしくないことが起こる。きちんと両方満充電にして規定の電流で使用しましょう。

ソニー製、サムスン製、LG製などが有名。今回はソニーのVTC5を二本買った。
ガジェット界の基礎知識であろうが、「電源周りの議論」というのは地味ながらも根幹に関わる部分であるため大変な鬼門である。変に冒険や知ったかをせず、鉄板を使っておく方が良いだろう

●XSTAR VC2


Teslacigs nanoにはUSB端子がないため充電器も必要だ。
XSTAR VC2はバッテリーを二本充電できる充電器。液晶には電池容量や電圧が表示され、過放電ロック解除機能などもあって高性能機と言える。

既に結構前のモデルだがそのおかげで安かった。リチウムイオン電池への充電などこの数十年くらい原理が変わったわけでもない。
唯一、出力が500maとあるが、新製品のPlusは1Aになっている点がパワー不足かも知れないという懸念をもたらす。

ところでXSTAR製品、かなり偽物が出回っているそうだがこれは本物だろうか。ボーダーぎりぎりというくらいの価格で買ったが、今のところ問題なく充電は出来ている。

Nicoticket ワコンダ

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今まで長々と説明した部分は皿や包丁の話であって、ここでようやく食材や料理の話となる。煙の元となるリキッドです。
ニコチケットのワコンダは、タバコ+コーヒー、バニラやキャラメル風味のある人気のフレーバー。同社は既に廃業しており、出回っている市場在庫が無くなれば手に入らない「伝説のフレーバー」みたいな奴。電池を買うときに偶然見かけたので買ってしまった。


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ニコチンが入っていないとは言え、リキッドの質を確かめるために舌に乗せて見るみたいな怪しい売人のマネはくれぐれもすべきではない。質を語るには吸ってみなければならない。

●吸ってみる


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アトマイザーを分解する。いや全部バラす必要は無いんだけど構造は知っといたほうが良い。
Eagleはだいぶネジが硬い。固着していると言うよりは全体的に高精度で締め付けが硬い。

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コイルデッキを入れます。一応RTAのお作法に倣って、あらかじめコットンに直接リキッドを垂らしておきましょう。

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上パーツ以外を組む。タンク部分にドバドバとリキッドを注ぐ。「真ん中の穴」は煙の通り道であって、「外周の穴」がタンク部分。いれたらきちんと締めましょう。



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な、ながいみちのりであった。(あれ、この写真リキッド入ってねえぞ)
あとはコットンにリキッドが浸透するのを少し待ち、電源を入れて、設定を合わせてパフボタンを押すのみだ。

パフを押したらタバコのように吸いましょう。
初回はリキッドの爆ぜがあったりするのでちょっと空焚きしてもいいかも。こちとらは肺に入れない葉巻派なのでちょっと吸い方に戸惑ったが、肺に入れても問題なさそうだった。

もふーん


うん!
「タバコの代替」にはならんね!「葉巻の代替」など言わずもがな!

そりゃあまあそうでニコチンとかタールだってタバコの味であり、燃焼した煙と水蒸気、厳密に言うと気化グリセリンが一緒であるわけも無い。
しかしあくまで別物として考えると、タバコよりも豊かで純粋な"喫煙"体験が出来ると言ったら言い過ぎだろうか。なにしろ一切の雑味も後ろめたさもなく芳醇なフレーバーが味わえるわけで、味を愉しみたい葉巻派の自分にはするりと受け入れられた。
ニコチン中毒の人がこいつ一本で禁煙できるかと言われればかなり微妙なところで、最低でもニコチン添加によって禁断症状を抑えながら段階的に移行するなどの手順が必要になると思う。あるいはやはりルドヴィコ療法か。やらねえって。どちらにしてもアイコスなどと違って過度にタバコとしての役割を期待しないほうが良い。

代替と考えるから足りなさが出るのであって進化形と考えればどうだろうか。フューチャーフォンがスマートフォンになったように、タールや燃焼による紫煙などそもそも不要な副産物の価値や味わいなど捨ててしまって、豊富な種類のリキッドという「アプリ」を人類は手に入れたと考える。部屋のヤニだの有害物質満載の副流煙だのは気にせずに煙を楽しめる。電話において通話が副次機能に変わったように、電子タバコもメインであったはずのニコチン摂取はオプション扱いだ。現代的でしょう。呼び名も「電子タバコ」ではなく「スマートシガレット」にすべきだ。実際そういう呼称もある。

アイコスなどのベポライザーもしょせんはタバコ葉という軛から逃れられていないので、あんなものはタッチパネルを搭載しただけのガラケーみたいなものだ。これからの時代はスマートシガレットたるVape!Vapeなのです!


あ、Wacondaの味を語っておこう。
タバコ系の定番と言うだけあって、甘みと深みとコクのあるシナモンキャラメルカプチーノ味という感じだ。いろいろと他人様のリキッドを試飲させて貰った経験から言うとたいそう落ち着いている。イヤ比較対象がタバコ系と真反対のマスカットだのレッドブルだのなんというかトラディショナルアメリカンフレーバーカルチャーイェーアみたいな(美味しいけど)香料
がっつり系だったこともあるのだが。嫌みやトゲのないコッテリ甘々と落ち着いた渋さが同居している。
タバコ系リキッド全般に言えることかも知れないが、基本的にはコーヒー系のフレーバーが支配的で、タバコと言われなければそのニュアンスを見失う程度。かすかにぴりっとくる顔をしかめる系の熟成香や渋みは、言われれば気付く程度のニュアンスはきちんとあるのだが、シナモンが支配的なアタックといい抜けるときのキャラメルのアロマといい、トッピングたっぷりのスターバックスのトールサイズでございといった風情なので「コーヒー系」と言ったほうが的確ではないかと思う。まあ「タバコ特有のフレーバー」って良く分析してみるとただのタールや紙の燃えかすの香りだったりするし、マジで再現したら多分誰も美味いとは言わない味になるので難しいところなんですけども。
手に入らないとは言われるが再現や後継と言われるものはたくさんあるので、確かに誰にでもお勧めできる味です。


さて、そんなVapeで注意しなければいけない事柄も、スマートフォン業界のそれと似たような事柄だ。すなわち、怪しいアプリ(リキッド)、実用に足りない安物筐体、使いやすさよりも無用なカスタマイズ性を薦めて来るマニアなど。

なにしろ「フレーバーを添加したグリセリンを
気化して呼吸器に通す」などという人類未踏行為に用いられるリキッドには食品や薬事関連の法律を除けば何らの業界内の同意も安全規格も策定されていない。Appstoreのようにどこかが検査してくれているわけでもないのだ。いま有名リキッドメーカーとして名を馳せる各社とて、言ってみれば自分ちのガレージで何かわからぬフレーバーとグリセリン買って混ぜて作ったのと大差ないものを洒落たビンに詰めて売っているだけだ。いわんや聞いたこともない怪しい安売りメーカーをや、ということでヘンテコなリキッドに手を出すのは細心の注意を払う必要がある。吸った途端肺が焼け落ちるとかアトマイザーが爆発するとか異能の力に目覚めたり女の子になったりはしないはずだが、長期的な軽微な健康被害が無いとは言い切れない。

同様に聞いたこともないメーカーの怪しい筐体の安全性や安定性もかなり怪しいものがある。どの機器もやってることは単に加熱してグリセリンを湧かしているだけだが、加熱させるという時点で危険性はスマートフォンのバッテリーなどより数倍高い。バッテリー、MODともに不自然に安いものなどには手を出さないようにしたい。

また最も危険なのは初心者に群がってきて不釣合いなものを薦めて来るマニアだろう。スマートフォンやカメラなどに比べれば安価に始められる趣味とは言え、天井を見ればそれなりに高価なものは存在する。また華美なものが持て囃される文化圏とも繋がっているため革張りだのチタン製だのと付加価値には限りがない。気付けば初心者には不釣合いなレベルの器具が揃っていて、サイフのお金もVaporとなっておりました、などとならないように自制心を持ってNOと言う必要がある。IYHダメ絶対。初回から散在している俺が言っても何の説得力もない。


というわけでまた面白そうな業界に足を踏み入れてしまったと感じる次第。ぽつぽつとレビューを行っていきたいですね。