DSC_0194

今更といったところで実際買ってから半年経っているのだが、割と忙しかったのでほったらかされていた。その間に3が出てしまったし。まあなんとなく読んで頂ければ。
さてこのどこからどう見てもiPad miniにしか見えないタブレット、何を隠そうAtom x5搭載で、Windows10が動作するフルPCタブレットだと誰が予想するであろう。今時は普通だってか。そうですね。どうせ俺の認識は小型WIndowsと言えばOQOだったころとかで止まってますわ。Librettoとか言い出さないだけまだ若いさ多分。

しかしフルWindowsタブレットが一般的になった今でも、iPad miniの筐体にそれを収めたとなるとかなり薄形小型であることは間違いない。それもスペックも決して無理をしていない中堅レベルで、ここまでのプロダクトとなるとそれこそOQO時代などを考えたら諭吉さんだけで野球の試合ができる、リリーフや代打もコミで。くらいの代償が求められていたはずだ。それが250ドルで手に入るってんだからもう、もうね…。

DSC_0195


感動はさておき今回はXiaomi mi pad2 64GB Windows10モデルを買ってみたのだ。

Xiaomi!中国のAppleと呼ばれるデジタルギア界の巨大新星!前回のVerneeなども言ってしまえばXiaomiのフォロワーとしての登場でしかない。格安高品質で今風のデザイン、売れないわけがない要素を備えて中国新興メーカーバブル界の頂点に君臨!君臨していた!二年程度でその王座は追われ、今やたぶん群雄割拠の三国志よりごっちゃなことになってる。うん。

あまりに過熱する新興メーカーバブルの中、Xiaomiはなんとか格安から抜け出ようと多様な家電製品やMi Mixのような高級コンセプトスマートフォンを模索しているところだ。あまりの栄枯盛衰の速度に目が回るが、やっていることは健全なメーカーの進歩である。逆に言えばバブルの泥船から真っ先に下りて自立しようとしている先進的なメーカーがXiaomiと言えなくもないか。

DSC_0196

ところでこのような極安高品質、かつどこかで見たようなガジェットが中国でぽこぽこ出てくるのか。それは深圳流のものづくりのエコシステムたる
「公板と公模」というのがあるとのこと。
大手メーカー品の大量生産設備・ノウハウや時には現品の横流しなどを元に、事実上汎用モジュール化、あるいはオープンソース化、とにかくそういう便利な「フリー素材」と化した中間成果品、電子基板類やケースパーツを指す単語である。
これらを自作PCよろしく組み合わせると大抵のモノはいっちょう上がりとなる。言うまでも無く格安容易でしかも極速に「新製品」を作ることが出来る。モノによってはパッケージや説明書までこのようなシステムで流通しているというのだから徹底している。

日本では「パクリ」として糾弾したり開発力不足の結果と見做されそうだが(手前の国も40年くらい前にはさんざやっていただろうというツッコミは置いといても)、多くの場合、パーツ単位に特許が取ってあるわけでも無く、別に法律に違反しているわけではなかったりする。
というより現代の工場生産品というのは多かれ少なかれそういった面があるものだし、公板化する力や生産力、それらが黙っていても集中する環境は間違いなく技術力と言って良いものであろう。「人件費の安い中国で作る」とよく言うが、今や中国の人件費だってけして格安ではないわけで、むしろこういった効率化によって安さを実現している面もあるのだろう。

TeclestのXシリーズからMi Padに至るまでのiPadクローンも、Appleが超大量生産したことで安価大量に用意できる環境が出来上がったのだと推察される。事実、iPad用とされるLCDパネルを用いてPCやRasberry Pi用に安価高性能な液晶を作るというのが今やメイカーの間では定番テクだ。
液晶という、生産設備が限定されるであろうモノですらこの状態なので、ちょっとした電子機器やその基板となれば簡単に公板化されることは簡単に予想できる。

そもそもハードウェアを大量生産して売ろうという際に、最も巨額の費用がかかるのは生産体制である。クラウドファンディングで集めた百万ドル程度のハシタ金で本来できるものではない。公板公模というフリー素材を多用し、逆にアイデアもフリー素材化されて他人に利用されるであろう中国深圳でならそれが実現できる。そうして本家が生産や出荷にもたついてるうちに深圳で既に同等製品が流通していたりするわけです。

思えば僕らのブログだのアプリだって、元を辿ると誰かの作ったフリーソースの組み合わせだったりするし、言わば「物理GitHub」である。そらGoogleの「Project Ara」も頓挫するわけだ。深圳ではとっくに高水準でそのシステムが実現しているみたいなもんだし。

DSC_0198

さてこのような裏事情を踏まえてXiaomi Mi Pad 2を再度眺めてみると、するとどうだろう、あれだけiPadにしか見えなかった筐体への感想が段々と「どこからどう見てもiPadだコレ」という純化を為していくではないか。
いや皮肉抜きにバッシングする意図は無いのだが、どっからどう見たってiPad以外の何物でも無いじゃないかこれ。

流石に公漠と言えるような筐体ではないと思うのだが、公模に頼らず作ろうとしたって出元のアレがいわば最高峰最高品質である以上やっぱりそういうふうになるしかないのだろう。ここまで来ると無茶にヘンテコデザインにされても使う方が困るし。結局スマートフォンと同じくタブレットもアルミとガラスの板きれとして定着していくのかも知れないし、それはそれでいいのだ。

●外装のクオリティ差を写真で見分けることはもはや不可能


DSC_0199

さて、ここまで丸のままiPadでも僕が完全に許しモードに入っているのは、当然昨今のパクリ糾弾のウザさに反逆する気持ちはあるが、まずもってすこぶるクオリティが高いからだ。例えば世の流行り物に酷似したデザインのアイテムの数々を見ると、似ているのは広告宣材CGだけで、現実には醜いとか見苦しいというのが適当なデザインとクオリティである場合が多い。
そこへ行くとMi Padは材質の仕上げから筐体の剛性まで、完璧と言って良いほどiPadそのもの、つまりは高品質なのだ。

DSC_0201

中国製の安価なメタル製品となると鉄板張りました感とかダイキャスト取って出し感の溢れるものが多いが、まったくそんな荒さが無い非常にクオリティの高いバックプレート。開口部もひしゃげているとかバリで狭まっているとかだったりはしない。液晶面も、コストダウンでポリカだったりはせずきちんとしたガラス。

DSC_0202

Apple製品との差を言うなら、例えばバックプレートの色合いと質感など。
Mi PadのバックプレートはAppleのゴールドと比べ少々薄暗く、また梨地に方向性が見える。これはおそらくブラスト処理や陽極酸化皮膜など表面処理の問題もあるが、使用したアルミ合金の違いだと思う。Apple(や最近の高級デバイス)は明るい色合いと均一な梨地にするために切削性が悪いA6063を使うらしいが、Mi padはおそらくA5052など普通の加工しやすいアルミ材でコストを下げているのではないか。
そういえば初代iPadのバックプレートは、この質感に酷似していた覚えがある。Appleがアルミの切削加工技術を模索していた時期のためか、分解するとプレートの裏側がマシニング跡どころか等高線みたくなってた頃の奴。

DSC_0203

が、それを写真に撮るのは困難というか不可能に近い。高画質動画とかだとわかりやすいんだろうか

DSC_0204

むう

DSC_0207

わかりそうでわからない

DSC_0206

肉眼だと結構違うんですよ。違うんですけどさあ。


まあデザインこそ言い訳の余地無く模倣ではあるし質感も直接比較すれば劣るとは言え、ここまでのクオリティはなかなか衝撃的。低コストで質感が良いというのは技術力はもちろん、「どうすれば高級に見えるのか」というセンスやノウハウも大事になってくる。ぱっと見のデザインを真似しただけの模倣品の多くが低クオリティに見えるのはこういう点もある。
外装の仕上げだけでなくボタンの剛性やパーツのかみ合わせなど、ぱっと触ってiPadと区別が付かない、少なくともiPadフォロワーの高級タブレット群の数分の一の値段の製品だとは絶対にわからないはずだ。

唯一低クオリティを感じた点はタッチパネルの感度だろうか。感度はかなり悪く、ドラッグなどは確実に途切れる。
ただしこれはテーブルなどに置いた状態で指を突き立てた場合。筐体を直接手で持って操作した場合、かなり余裕のある(しかし過敏と言うほどでもない)感度となってすこぶる調子が良い。左手で筐体を持って右手で操作するなどの場合も同様。
これはつまり筐体を手で持つことでアルミ部分がアースとなってタッチ感度をブースト(もしくはノイズキャンセル)しているのではないかと思われる。というか最初からそれを見越して設計しているのだろう。低価格センサーで適切な感度を実現するには非常に頭の良い手段だ。ただしこれではケースが使いにくいと思うし、寝転んだりしてユルく使う場合に手に持っているとは限らない。

DSC_0224

インターフェースと言えるのは上部ヘッドフォン端子と充電にも使うUSB-TypeC端子のみ。ホストアダプタやハブを使えばUSBポートになるが、(一般的に)充電と両立はできない。

DSC_0225

SDカード等が使えないのはこの製品唯一の理不尽な点だろうか。64GBというのはタブレットOSには中堅だがWindowsには物足りない。ネットワーク越しになんとかすればいい話ではあるが、自宅用でNASがあるとか容量無制限の高速モバイル回線があるとかでなければ面倒なだけである。

●クオリティのネックはWindows?


DSC_0208

ここまで万全なクオリティであると、一番「安っぽく」見えるのはどこかというとOSになってしまう。「Mi PadがiPadと異なる」点はもはやOSだけと言えるからだ。

言うまでもないが「Windowsであるメリット」というのは言うまでもなくWindowsであることなのは言うまでもない。ただ、タブレットとしての出来は今ひとつなこともまた言うまでもないのだ。

例えばスクリーンキーボードは相変わらず純正のもののみで使いにくく、変換も頭のよろしくない予測変換入力を前提としているため思った通りの文章が打てない。

スリープ復帰などは相変わらず危なっかしい。何度かスリープボタンを押しっぱなしにしても復元しなくなることがあった。時間を置いて再度試すと起動する、という一番タチの悪い奴。BIOSの入り方もよくわからないし。また指紋認証やパターンロックなどもないため復帰の度にパスワード入力を求められ、それを解除するためにレジストリをいじらねばならなかった。

タッチパネルである以上必要な端部やタッチ位置の補正は、OSベースではほとんど為されていないのではないかと思う。


DSC_0226


手元のLenovo Yoga tablet 2 と比べてみる。Yogaの形は好きだが、薄さが際立つMi Pad2


DSC_0227

UIやモーションこそ今風になって格好が良くなったが、やはりタブレットはタブレットOSが使いやすいのだ。どうしてもWindowsでやりたいことがない場合Android版のほうが使いやすそうだ。デュアルブート版などもあるようだが、オモチャとしての楽しさはともかく面倒くさくないですかそれ。


こういう点は概ねキーボードの付かない中~低価格Winタブならばよくある話であって、iPad mini(並)の筐体を除けばMi Pad もまたおおむね良くも悪くも普通のAtom x5のWindowsタブレットだという結果に過ぎない。詳細なベンチや検証などはしないが、結局のところ「iOSってすごいんだな」という感想になった。ちょっと身も蓋もない。

何にせよ安い、無難(WIndowsタブとしては)、クオリティ高いという尖った部分のない素直な製品なので、Winタブをお求めの方には入手性を除けば幅広くお勧めしたい。

ただ、いつの間にか出ていたMi Padの3はWindowsモデルが廃止されAndroidのみになってしまっていた事実でなんとなく察して欲しい。

●正規代理店が決まったそうです


さてXiaomiといえば最近日本でも正規代理店が決まりました。



Xiaomi製スマートフォンが国内で正規に買えるかも? 国内正規代理店が決まった模様

http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20170405045/


ありがたいことではあるのだが、スマホに限れば今やGearbestやAmazonの業者さんによって欲しい人は普通に買ってるという状態である。特段何のメリットもない正規代理店販売品がどれだけ売れるかは未知数だと思う。(技適!技適!)

記事ではMi Mixに触れているが、現地正規の価格でも10万円に届こうかという高価なスマートフォンを、かなりのマージンを取らなければ成立し得ない零細代理店が売るとなると、果たしていくらになるのかは戦々恐々と言ったところ。

Redmi note x4の初音ミク仕様などの限定品がこちらにも入ってくる期待は持てるが、やはり値段はネックか。あとは我々ズルトラ難民の貴重なキャンプ地の一つMi Max系ですね。しかしこれは普通に輸入買いしそうだ。


むしろXiaomiが何気なく出しまくっている家電や豊富なアクセサリやガジェット類をばんばん売っていくことに期待している。現代的なセンスと良質なクオリティと安価な値段でびっくりするほど手広く色んなモノを出している優秀な家電・アクセサリメーカーであるため、市場にはいい刺激となるはずだ。一例を挙げると炊飯器とかミラーレス一眼とかで、格安ならちょっと買ってみようかと思わせてくれる。


まだまだXiaomiのタマはのこっとるがよ、といった風情。今後に期待を込めて☆4つです(クソみたいなレビュー)