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BlackBerry Privを粛々と見送りつつiPhone7を注文しようとしたが、よく考えたら発送6週後とかその間電話機がなくなることに気づいて慌てて注文した。
いや流石にそこまであわてんぼうじゃねえよ。どのみち、サブ機としてゴミ安値段のSIMフリースマートフォンを一つは持っておきたかったのだ。キャリア転がしや機種ジャグリングを趣味にしていると、どうしてもそういう安定して所有しておける機種が一台は欲しくなる。使ってて最低限の不満は無いけど使い潰して問題ないような奴。

●SIMフリー携帯電話社会を満喫しているか


さて、気付いたら電気屋でも普通にシムフリースマホコーナーなるものが有ってhuaweiとかASUSとかFreetelの「キャリアからは出てない携帯」が好き勝手に売ってる世界になった。MVNO使用者のくせに何をトンチキなことを抜かしているのか。しかしよく思い出してみるとこういう携帯電話のありようってちょっと前は夢じゃありませんでしたっけ。気づけばモバイラーの夢たるSIMフリー携帯社会が実現していた。ぶわっ。

感涙に咽ぶのも良いが、果たしてiPhoneも有力Androidも全キャリア同時発売のご時世に僕らが夢見たような「キャリアを気にしなくていい」感動はあるのだろうか。無いよな。「端末やサービスを自由に選びたい」から求めていたはずのSIMフリー環境で、僕らは今やメイン機種はiPhone固定でMVNOのどこが早いの遅いのと縛りの合間に言っているばかりだ。
もはやシムフリーには、シムフリーには謎の勘違いをした面倒くさいモバイルおじさんがキャリアユーザーを見下してドヤ顔できる以外の意味は、ありますか。キャリアは、ブランドでなく、土管に過ぎないと言っていたのはあなた方では、あなた方ではないのですか。

すなわちキャリアの土管化よりも、最近は端末自体ももう「iPhoneとAndroid」の二種類を通す土管と化し、例外は存在しなくなってしまったのだ。いやいるさ!ここに一人な!と言って窓を蹴破ってきたWindows Phone10とかいう何かはそのまま反対側の窓から捨てておくとしても、何を買っても致命的な不便はないが逆に尖ったものも無い。

こういう状態を示す「コモディティ化」という単語自体もすっかりコモディティ化してしまった感があるが、コモコモしい様相になって停滞しはじめた業界でも多くの消費者には恩恵がある。ヘンテコな尖った端末を楽しむという恩恵が受けられなくなったが、低価格高品質というそれに引き替えるに値する極上の美酒を。


コモディティの申し子たる恐るべき低価格高品質スマホの本場は何度も言っているが今は中国はシンセンにある。その中から今回はVernee社からApollo Liteを購入。

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どででんどん

●Vernee Apollo Liteとは


中国メーカーと言えばHuaweiやZTEなどしか無かった頃の認識がベースとなってしまっているが、近年のXiaomiの登場に端を発する、才気溢れる中国新興メーカーの中でも最も有望株と目されたりされなかったりしているのがVernee。いやすんませんなにせいっぱいあるもんで。なんならスマホじゃないのも鬼ほど存在するし。
OEMメーカーを源流とした若者中心のスタートアップ企業、というのがこの手の企業の定番というかそれ以外にルートが有るのだろうかというレベルでそういう企業ばかりで食傷気味である。細かいストーリーは成功したら出てくるだろう。しかし市場も若者も元気なのは日本から見ると羨ましい限りである。代わりにXiaomiなどのように、足を止めたら即飲まれるという恐ろしさもあるが。

ところで「Vernee」というのが何を意味するのかは僕の語学力では全然わからなかった。「華為技術」や「小米科技」と違って漢字表記もない。まあ中国企業だからって漢字表記絶対あるわけでは無いけど。SONYは創業者の名前がどうたらのうんちくは披露できるが、「何という意味の単語で日本語や漢字ではどう書くんだ」とか言われても、困るでしょう。

最近勢いがないとはいえ、一度は一躍新時代の寵児となったXiaomiなどと違って、Verneeの設立やバックグラウンドに触れた記事等もないので会社について云々するべき内容はない。
そもそも俺はこの業界のベンチマークたるXiaomi製品のレビューなどを予めしておくべきだったと思うのだが、微妙に縁がなかったためできていない。痛恨の極み

さてVerneeは特盛りスペックフルメタルスマホ「Apollo」を掲げて業界を湧かせたが、100ドルちょっとのミドルレンジスマホThorなどで評価されているうち、無印Apolloが出荷されないうちからお手頃ハイミドルスマートフォンであるApollo Liteの登場となった。

●入手手段は基本的に輸入


SIMフリー携帯社会が来てしまったとは言え、こういう中国の新興メーカーの携帯はあまり日本では売られない。HuaweiやZTEという老舗が進出しているのは救いだが、未だにXiaomiですら進出していないのにSIMフリー社会と言えるのかどうか。

こういうときは定番かつ最近はブロガーさんに端末を送ってレビューさせたりして商売心旺盛な「Gearbest」で輸入するのがこの手の廉価中国製デバイスユーザー&レビュアーの掟らしい。しかし今回は何せ何しろ時間が無かったので在庫のあるAmazonマケプレに頼る。Gearbestでは200ドルくらい。Amazonマケプレで25000ほどで購入。
Gearbestは評判の悪さも聞くが、何度か買っている分には普通に届いている(小学生並みのレビュー)。極度に警戒するほどではないが、自己責任で。


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日本での販売の壁はローカライズや割に合わなさなどさまざまあるが、そもそもコアはおそらくそこにはない気がする。イヤな話だがこれが「今話題の格安ハイスペックなインド製スマホ」とかだったらもっと商業的に話題になっている気がするのだ。ぶっちゃけ、中国や韓国という単語を聞くと脳味噌のタガが外れる人が大多数派となってしまった哀れな国に住まうガジェオタの悲劇だと言って良いと思う。

こういう中国からの輸入アイテムを「中華スマホ」「中華タブ」などと呼称しているのも、かなりネット特有の無神経な差別蔑視丸出し文化の継承の果てにある気がして好きではない。親愛寄りの愛称のつもりで言ってる人も大勢居るだろうし、今勢いのある中国メーカー独特の雰囲気に総称が欲しいのは確かだが。

スマホや家電という点では、中国から見るととうの昔に世界標準化と高品質化を終えている韓国への意識も、この国では前時代的そのもの、というかこの二国の区別すらついていない例が多い。GALAXY Note S7の発火の件などでも、危険な大問題なのは確かで揶揄されて当然だが、国内ではその範疇に収まらないような見苦しいヘイトをいくつも見て釈然としない。世界で通用しているスマホ大国に対してスマホ後進国が何言ってんだというガジェオタの冷めた目があるのは確かだが、そろそろこういう風潮も明確にNOを突き付けていくべきだ。

うちとか2chとかみたいなネット底辺の駄文ならともかく、最先端の技術を扱うテック系メディアが、そこら辺の意識は著しく前時代的なのは後々支払うツケがデカいと思うのだが。例えば同じ「ささいな違法」なら技適取ってない端末の通信なんぞよりも、こちらのほうがよほど問題でしょう。

なお言うまでもなくApollo Liteは技適有りませんので通信は自覚を持って行いましょう。断じて技適無いのを使うイイワケのための話題ではないですが。

●開封から外観まで



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写真写りでは高級感はあるが、手に取るとけっこう荒い塗装質感の箱。ただセンスは2016年基準でオシャレと言って問題ないレベル。余計なラベル類も最低限。付属品も最低限。イヤホン無し。

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何事かと驚くような巨大ACアダプタが登場。いや、いわゆるC型コンセントのACアダプタは巨大なことも多いが。マーケットプレイスの好意かC型→A型変換アダプタが付属しているため使用可能。
付属ケーブルは当然TypeC。USB3.0かは不明。

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まず本体には買わずとも最初から液晶保護フィルムが貼ってある。となると「梱包としての保護フィルム」を剥がすと「そのまま使用可能な液晶保護フィルム」を「保護するフィルム」が貼られていることになってクソややこしい。

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ただこのせっかく貼って頂いている保護フィルムだが、ご覧のとおりフィルムとしては最底辺の類に当たる極薄ペラッペラのビニール感溢れるフィルムである。梱包フィルムでは無いんですよこれ。指を滑らせるだけで鳥肌が立ちそうなので開封2秒後には剥がした。他レビューによるとこのフィルムのせいでタッチ感度などの評価が下がっている感じがする。

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筐体。いつも通りの黒いガラス金属板。形状は上下辺が微妙にラウンドした長方形。
付属のクソフィルムを剥がした状態の液晶面は、最新の高級端末となんらの遜色もない高品質なガラス液晶。端部はiPhoneなどのように「2.5D」処理されて丸みを帯びている。スピーカー孔端部なども処理が行き届いており、ゴリラガラス3採用とのことで耐久性も抜群。

液晶は5.5インチのIPSで解像度はフルHD。SHARP製のIGZO液晶を採用しているとのことで省電力化に寄与する。描画品質も不満のないもの。

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左がApollo Lite、右がPriv
実際に見比べてみてわかったが、数字上はGALAXY S7やBlackberry Privなどの2560x1440には及ばないものの、Privの液晶よりも遙かにシャープな解像感がある。おそらくPrivのディスプレイは有機ELディスプレイ特有のペンタイルやSストライプというピクセル配列で、Apollo LiteのIGZO液晶は通常のRGBストライプであるためだろう。粒状感があると言えなくもないが、直線などのエッジはキレキレである。
そういえばPrivのディスプレイどこ製で何配列か結局よくわからなかったのだった。現物有るうちにUSB顕微鏡などを使って画素配列を撮れれば良かったが、もはや500ppiとか行ってる液晶の配列って撮れるんだろうか。

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配列の影響があるとはいえ、Privより下がった解像度によってUIなどは少々大きく感じるのは仕方ない。
色の調子などは色温度は高めに見えるが素直な感じ。

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Thorではタッチ操作にもたつきがあったそうだが、Apollo Liteでは一切といっていいほどもたつかない。Privや高級Androidだと若干反応が過敏すぎると感じることがあるのだが、そんなこともない。


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背面
もはや背面すらもコモディティ製品的に代わり映えしなくなってきた。あらゆるAndroidがiPhoneの丸コピーだった頃(暴論)から比べれば各社である程度の方向性は確立している感じはあるが、それにしたってメタルボディも背面指紋認証も皆すぐ取り入れてしまうので、あっという間にいつも通りといったところ。
クオリティはすこぶる良い。いやiPhoneクラスと比べると表面処理は粗いが、何せ1000ドルクラスと200ドルクラスだ。変な凹凸や塗装ムラやチリあわせのズレが皆無であるというだけで奇跡のように感じる。

カラーは「アポロ」らしく宇宙繋がりの(という建前で実際はアイツと同名の)Space Grayを謳うが、ガンメタやブロンズといったほうが近い印象の、暖色~紫寄りのグレー。色の珍しさは置いておいても宣材CGは少々真っ黒すぎる。「Moonlight Silver」という白もあり、同国メーカーには珍しくゴールドは用意しない。

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流行の背面指紋認証リーダー。LEDフラッシュは流行の二色型

背面リーダーは初めてだが、やってみるとぱっと見ほど不自然ではない。普通にスマホをハンドリングすればこの付近に人差し指が来るからだ。両手人差し指を登録すれば、左右問わず片手持ちでも両手持ちでも読み取れるため、理に適っている。

惜しむらくは精度がそれなりで、登録した指の腹の位置を正確に読み込ませる必要がある。認証速度は十分に高速なのだが、読み込みエラーが多い。
リーダーがホームボタンにあるiPhoneと違って、背面のリーダーは人差し指の腹と正確に正対するとは限らないという点もある。登録時は指の腹より側面を重点的にやると良いかもしれない。また同じ指を複数、角度を変えて登録しても良いか。


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画面向かって右側にロックキーとボリュームキー。スマホ業界、もはやデザインは横並びになってるくせにiPhoneは左ボリューム右ロック、Privは左ロック右ボリューム、Xperia X Performanceは右ロック右下ボリューム+カメラ、LG等に至っては背面にキーがなどと、本来統一して欲しいハードキー位置のほうがごちゃごちゃだが、なんかApolloの位置はしっくりくる気がする。相対位置にボタン有ると同時押ししちゃうし。
ボタンパーツが金属なのは安心した。少し傾いて見えるが実際にはぐらぐらしたりもしておらず、適度な硬さ。


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イヤホンジャックが上辺にある。これは個人的にポイント高い。慣れのせいも有るだろうけどやっぱりイヤホンジャックが下向きなのは手持ちで使いにくくないですか。どうせ今後iPhoneのようになくなるのだろうが。
言うまでも無く4極ジャックでボタンとマイクが利くが、iPhoneリモコンのボリューム操作はできない。

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スピーカーは片方のみ。
なおApolloはフルメタルスマホとして宣伝されたが、Liteでは実は、このセパレートされた上下辺部分はプラスチックだ。入念に塗装と処理が為されていてぱっと見絶対気付かないし安っぽく見えることもないが。

スピーカーやイヤホン音質を聞いてみると、まあなんというかあまりお金はかかって無さそうな感じの鳴り方をする。特にスピーカー。今時のスマホの高音質を謳うスピーカーって結構すごかったんだなと思わせる。

重大な問題として、Powerampでの音楽再生中に音量調整キーを押すとブツブツと音が切れる。アプリを変えると再現しないのでApollo Liteの問題とは言い切れないが、CPUの処理の問題とかだろうか。どちらにせよ永らくAndroidの音楽環境にイライラしっぱなしだった自分の耳に、とうとう音楽でなく心が折れる音が素晴らしい音質で聞こえてきたので、もうそろそろAndroidスマホに音楽を任せるのを完全にやめようと思っている。

音質で思い出したが、もっとお金がかかって無さそうな点が本機の通知バイブの音質。マナーモードでもバイブ音が聞こえる程度のことはよくあるが、Apollo Liteのバイブはズボンのポケットに入れておいてもはっきり聞き取れるほどの「みょーん」という甲高い音で振動する。連続して通知が来られると、甲高さと大きさで何事かと人目を引くレベル。

スキの無さでは完全無比に近いiPhoneでもバイブ音は昔からけっこうコロコロと方向性なく変わっていたので、あまり気にされていないのだろう。そういうところのコストカットは中国メーカーは大胆にやる気がする。

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話題の(いつのだ)USB3.1Type-Cコネクタ。これが初のType-C穴なので感触とかはわかんないが、リバーシブル、接続強度など問題は全くなかった。当然ホスト・OTG対応アダプタを繋ぐとホストとして動作し、キーボードでもUSBメモリでも自在に読める。

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ケーブルはType-C側基部がでっかい以外は強度、質感もまとも。太い部分にはおそらくUSB3.1Type-Cケーブル問題を鑑みて56KΩ抵抗が入っていてほしいところ(願望)
真面目な話をすると純正アダプタで充電用途にのみ使えば、このケーブルがレガシー対応していなくても間違いは起きまい。

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いつものApple方式のSIMカード/microSDカードトレイ。むこうではmicroSDを「TFカード」という。
デュアルSIM対応は中国市場では基本だが、最近ではどちらかのトレイがmicroSDとの兼用になっている例が多い。シングルSIMが中心だが用もないのにSDカードを入れたがる日本市場を見据えたわけではないが結果としてWIN-WINの構図と言える。

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が、上スロットはmicroSDとnanoSIMの排他利用、下スロットはmicroSIM専用なので、microSDを入れるとnanoSIMが入らない。クッッッソややこしいなこの文章。
仕方ないのでnanoSIMをmicroSIMサイズにする下駄を噛ませて事なきを得る。
あと基本的には隙のないApollo Liteの質感も、このカードトレイの外装だけはなんだかぐらぐらして心許ない。製品のこういった細部に神は宿ると言うが、神を宿すと5倍の値段を払わされるなら神など要らないという説もあるだろう。神は死んだ。

通信はband19など日本プラチナバンドには対応しないが、標準的なバンドを取りそろえてあるので不便はない。IIJ mioでは接続するのに自分でAP等を入れる必要があるが、それさえ済めば電話もSMSも届くしちゃんと4G通信する。

●カメラ性能は特に見るものがない。



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カメラは1600万画素、F2.0 センサーはサムスンのS5K3P3というもの。ナナカマドの実を撮りながら実にピントが合ってねえのは俺のヘタクソのせいである。

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読み出しはSONYほどには早くないようだが、4K/30fpsも撮影できるし不足なし。
初期ファームウェアではノイジーさが目立ったようだが(度重なる)FOTAでそれなりに改善しているらしい。

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ただ、広告写真こそ多数のレンズエレメントを並べた高画質っぽい感じになっているものの、しょせんはセンサー基本性能頼みのフツーの携帯カメラといった感じ。Privと比べるとディティールはお気楽に潰れているのがわかるし、色味付けも常識的だが特に感動のないもの。

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ちなみに下はPrivの画。PrivはPrivでシャープさも色味も演出過多なきらいがあるものの、認定レンズは伊達ではない、というくらいの表現力はたしかにある。

●スペックは大盛りながらやはりCPUがネックか


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スペック。
CPU     Helio X20 (MT6797) Deca-core
GPU     ARM Mali-T880 MP4
RAM     4GB LP DDR3
ROM     32GB
Battery     3180mAh (Typ.)

CPUは国内ではFreetelを除きなかなかお目にかからない台湾はMediaTek製。
Apple AやExynosなどのほぼ純正専用CPUを除くと、スマホのCPUといえばSnapdragonだが、当然それ以外の会社もあるのだ。同社のHelio X20というデカコアのハイエンドCPUを搭載する。
デカコア!すなわち10コア!ちなみに12コアは「ドデカコア」だ。「ダブる」とかすぐ日本語化するこの国のことだからどうせ「(ド)デカい」もここから来たんだろうと思ったら全く関係なくて逆にビビるあのデカだ。オクタ(8)コアCPUが良く聞かれるようになった昨今、とうとう二桁の10コアに達した感慨がある。

とはいえ実のところ最近のモバイルCPUはだいたい「Big.Little構成」と言って、高負荷用の4コア、低負荷用の4コアを使い分けて合わせて8コアと称しているのが実情で、実際の処理が4コア以上に及ぶことはあまりないようだ。
そこから2個増えたHelio X20はどのような構成かというと
・2.5GHzの2コア(A72)
・2GHzの4コア(A53)
・1.5GHzの4コア(A53)
この3クラスタを用途に応じて使い分けて合計10コアだ!なんだその一休さん的問題解決法は。つまり最高性能は2.5GHz駆動のA72デュアルコアによるもの。
いくらなんでもそれを10コアと言って良いのか疑問に思うが、まあこれくらいのハッタリはCPU業界では日常茶飯事だ。1ユニットに既存CPUまるごと二つぶち込んだところ爆熱でクロックが上がらないという物体を、さもデュアルコアCPUですみたいなツラで出してきたPentium Dなどという名石もちょうど10年くらい前にあったんです。

さんざハイエンドとは言ってきたが、やはりこのCPUを問いただされると口をつぐむしかない。だってホラ、8コアハイエンドCPU搭載!って言ってええっまさかi7の5960X?それともXeonかなあってウキウキしてくれてる相手にさあ、まさかAMDのFXですとか、そんな残酷な真実を、そりゃあちょっとあなた、ねえ?何の話だよ。

歯に衣着せずに言うとそういうIntel i7=Qualcomm Snapdragon的「リアルハイエンド」に対し、性能差に多少目をつぶりつつも「スペックシート上のハイエンド」を指向してお安く済ませるAMD的な立ち位置に居るのがHelioやKirinなのだ。CPUのおかげでこの超格安を実現できているのは事実だが、一番のネックを問われるとCPUということになる。

とはいえどもAMD CPUマシンのそれと同様、普段使いしている分には何一つすらも問題なくスペックの恩恵にあずかれるのも事実。非現実的なベンチマークレーシングに興味のある人だけがSnapdragonを選べば良いのだ、と言い切るのもこの価格差を考えると暴論とも言い切れない。

RAMは4GB、容量は32GB。メーカーによってはハイエンド機で通用するレベルである。もちろんmicroSDは128GB対応

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Antutuスコアは9万代と聞いたが8万6千。Antutuの動作自体が何やら怪しく、SDに入っちゃったか何か原因があるのか。どちらにせよ今時のスナドラ820機が13万とかなので安さで攻めるCPUメーカーのハイエンドとしては良い線ではある。

実際のところではSnapdragon808のBlackberry Privと比べれば、日常使用では非常にクールである割に、負荷や遅延が目立つと言うことも無い。スペックの誇大っぷりとは裏腹に堅実なヤツ。ただGPUがARMのMali-T880MP4採用で、SnapdragonのAdrenoのハイエンドと比べると弱めなのが用途によっては気になるかもしれない。

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Minecraftを動かしてみると、確かに総合ベンチスコアでは勝るはずのBlackberry Privに対してFPSはちょっと低くなった感じ。マイクラのグラフィックは最新命令セットで速くなるとか言うものでは無さそうなので割とGPUの基礎体力が要求される印象がある。Pokemon GOなどは問題なく動くが、デレマスとかどんなもんだろうか。



気になったのが充電、本機はMediaTek製CPU機なので同社の「Pump Express3.0」に対応しており、最大20分で70%という高速充電が可能とのこと。
ここらへんの急速充電規格はかなりカオス状態で、ざっと言えばQualcomm主導のQuickChargeとその互換規格がいくつもあり、対抗してMediaTekが立ち上げたのが非互換のPumpExpress。よく並べられるAnkerのPowerIQは充電側の仕組みでこれらとほとんど関係ない。

Pump Express 3.0対応ということは最大5Aであるらしいのだが、付属ACアダプタの数字はこうなっている。

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輸出(output)5Vで2A。たしかに一口のUSB-ACアダプタとしては大電流量ではあるが。
よく見ると本家のスペックにも「Pump Express 3.0 5V 7V 9V 2.0A 12V 1.5A」と書いている。
QuickCharge然り、PE3.0だからといって大電流量でなければならないわけじゃないが、せっかくの目玉規格なら上限まで使っても良いのでは。

そもそもFreetel製のMediaTek機レビューなどを見てみても実際に高速充電を体感できているというレビューはあまりなく、なんとなく早いNE!で終わっている感じがする。バッテリー関連もまたCPU並のハッタリ業界な印象があるよね。あるいはそうじゃない業界のほうが珍しいのか。

●OSは素に限りなく近い


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OSの中身はPrivよりもさらに「素」っぽいAndroid。ちょっと触ったことしかないがMIUIなどとは違って何もクセがない。というかVernee機としての設定項目も無いのはちょっと不安ではないのか。
MIUIなどと違って、素の状態からそのまんま日本語化できるのが美点。さっさとATOKか日本語入力を入れると元の言語が何だったのかすらわからなくなる。

以上、あまりに素すぎてレビューすることがない。唯一、端末ファームウェアのオンラインアップデートがそこらへんのサイトアプリのアップデートより頻繁に飛んでくる。たいそう熱心に開発が続いている、と言うことにしておこう。未完成と言うほどの問題も無いし。

唯一気になったのは、時たまフォントのアンチエイリアスが切れてギザギザになっていることがあること。すわ日本語への中国語フォント混入の類かと思いきや、画面外に出すと元に戻ったりして、描写の問題だと思われる。頻発はしないが少しだけ気になる。


●アクセサリは日本でも最低限は買える



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今回はケースと保護ガラスも買ってみた。ケースはAmazon、ガラスはGearBestである。

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フリップケース、「純正品はこういう形をしているらしい」という以上の情報がなく、これが純正品かも不明。公式サイトを見る限りでは背面はクリアのポリカだが、こちらはフロスト仕上げのポリカ。シリコンに見えたがちゃんと硬い。普通はこの仕上げの違いで模造品だと判断するところだがその程度の状況証拠では確定しないのが海外メーカーの恐ろしいところ。まあただのケースだし使えりゃ良いんですよ。

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「Magic circle」という、閉じると小窓にぴったりの時計表示になるGALAXYみたいな機能がついている。お察しの通り磁気センサーによるもの。時計はスワイプでデジタルとアナログを切り替えられる。通知等は表示されず、もうちょっと情報量があっても良いと思うが、趣味は悪くない。


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フリップはカードケースなどはついていないがその分薄く取り回しやすい。こうやって後ろ手に回すと持ちやすくなる。こうやって後ろに…

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クソァ!

GALAXYとかでも似たような話聞いたことあるけどマジでクソだな磁気センサー。つまりは後ろからの磁力にも反応するわけです。原理的に仕方がない。
言うまでもなくこのままでは画面は全く反応しない。フリップを思いっきり横にずらせば復活するが、気を抜くとすぐ時計に戻る。


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フリップ自体は嫌いではないのだが、これをやられると萎える。となるとやることは一つだ。写真にうっすらと丸い輪郭が見えるだろうか。これが磁石である。なるほど。



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Damn!(クソが!の意)
少し惜しいがしょせん10ドル。なかなか悪くないケースなので、握って使えなくなる方が惜しい。
よくあるネオジム磁石が出て来ました。大きさの割に結構強いのでむやみに放置しないように。
固定がセロテープだったので拍子抜けした。横に一本切れ込み入れるだけで取れた気もする
よしこれで握っても問題なく使えるようになりましたね。小窓としての機能を無くすのは忍びないが…

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標準の時計位置と時計ウィジェットの配置で何も問題なかったのだった。そんなにフリップして画面ロックしたいなら近接センサーでロックするアプリがあるからそれを使いなさい。
これで問題なくなったと数日使っていましたところ


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該死!(Damn!の意)
いやちょっとモロすぎませんか。カタカナで書くとイヤラシい気がしませんか。しません。
一応公平を期すため弁護しておくと、ベッドサイドテーブルからフローリングに落としはしました。でもそれ何回もやってるけど完全破壊されるケースって初めてだぞ。
実はもうちょっとマシなケースにしたいというか、なんならレザークラフト自作とかに挑戦しようと思っていたのだが、やるにしてもぱっちりハマるプラスチックケースは必要なので困ったことになった。もう一回買おう。


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次に保護ガラス。これもなんか箱だけ見ると純正品(あるいはその真似)っぽいオーラがある。あるがしかし。

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うん知ってた。2.5Dガラスの保護ガラスなんてそんなもんよ。
Apollo Liteさんがカッコツケなせいでどうしても周りが浮いてしまう。平面で良かったやん。

さらには屋外太陽光下だと謎の青光りで見えにくい。紫外線蛍光かよ。さてはガラスでなく蛍石製というステキアイテムだな。
ブルーライトフィルターかなとも思ったが、いくらなんでも青光りしすぎる。
これはこれでしばらく貼って、裸で使おうと思う。流石に本体が200ドルだと出来の悪い保護ガラス代を重ねるのもばからしい。

●総評


という感じで見てきたVernee Apollo Lite。いやなんというかびっくりした。200ドルですよこれ。僕らが扱ってきた1000ドルのガラス板群は何だったの。そりゃ細かいクオリティは全然適いっこないけれど、少々おボッタが過ぎるのでは…

まあそれは子供の論理というヤツで、元々1000ドルの連中が市場にモノを溢れさせてコモディティ化してくれたから生まれたプロダクトだという面もある。
ただこれも逆に経営者の論理というヤツだ。いち消費者から見るとなかなか衝撃的な内容ではある。少なくとも国産の安物Androidを買う意味は完全に消失してしまった。

とはいえ、前述通り技適問題や入手性の問題などもあり、Freetelなどの値段に倍くらい差があるならともかく普通は日本で使うならばFreetel買っておけばこの「コモディティ化による格安高スペックの美酒」は存分に味わえるので別に無理をして輸入する必要は無いのだが。
これは言ってしまえばロマンである。輸入モバイルギアという昔から定番のガジェオタロマン。前回は輸入だから尖っていて欲しいと言ってBlackberry Privに手を出した結果老人ホームの介護の実態をのぞき見したような気分になってしまったが、今回は「周りの一般的な人間が誰一人素性を知らないであろう謎のデバイスを御する」という高揚感を久しぶりに味わった気がする。何もとんがっていなくても良いのだ。その割には実際のところただの見慣れたAndroidスマホなのでじつに使いやすい上に値段も格安と来た。良い時代であるなあ。

ではわたくしめもApollo Liteを、と思い立った御仁はちょっとお待ち頂きたい。かの会社の速度たるやシンセン基準では普通なのかも知れないが、めまぐるしいという意外に形容のしようがなく、既にこれをレビューしてる間に、指紋認証を端末側面に搭載する「Mars」という新機種が出て来ているのだ。そのMarsやApolloのそれぞれさらなるハイスペック版「Pro」も登場予定と言うことで、迷っている暇がない。
おそらく今から買うなら値段が同程度のMarsが良いかと思うが、それを迷っている間にApolloが出そうだ。このスピード感も中国シンセンの勢いを味わう上では欠かせないだろう。

さりとてこの新興スマホメーカーバブル、Xiaomiの苦戦を見るまでもなくこの調子で加速すると大破局が近いのでないかという危惧もあるがどうなるだろうか。逆に言えば少なくとも今このとき、この勢いを味わわずしてガジェットオタクは名乗れないと思う。こんなに楽しい時期は今後しばらくは無いぞマジで。

少なくとも日常的な「スマホ」としてはApollo Liteで何にも不足がない。むしろ何やらBlackberry Privより充足しているような気すらする。メーカーや市場が若々しいっていいなあ。しばらくこのままiPhone見送って中国スマホバブルを堪能してみても良いと思い始めている。

さしあたって、Mi Padを注文したので次にレビューしたい。順序が逆ではないのですか。



















こちらが新機種Mars。デザインはiPhone7クローンになってしまったが、側面指紋認証はいいなあ。