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買った。
今回、台湾に行くにあたって決めていたことがある。「NOKIAのWP端末(もちろんSIMフリー)を一台入手してくる」こと。
別にSIMフリーやモバイル端末の本場香港に行くわけでもないし、今この時期台湾行くならHTC One MAXでも買って帰って来るべきなのだが、今回はこいつなのだ。

とりあえず海外でも使えるスマートフォンを安く欲しくて、かつ日本で売っているようなのはつまらないから、日本語標準対応の日本未発売スマホとなったらLumiaが残ったということ。いや、それは言い訳にすぎないか。
本当はNOKIAが欲しくてたまらなかったのだ。WindowsPhoneが使いたくてたまらなかったのだ。

その理由と背景を話すには、まず、スマホがまだスマホと呼ばれず、スマートフォンと呼ばれていた頃の時代まで遡らなければならない。一言で言えば。iPhone以前の時代だ。そこはバージェス動物群のような珠玉のヘンテコアンチスタイリッシュ端末たちが、ニッチでニッチで、ニッチ極まりない、スマートフォン・PDA業界と呼ばれる暗黒の世界でしのぎを削っ ていた…(長いので省略)

というわけで考えてみればLumiaシリーズというのは、多くの往年モバイラーにとってはiPhone以前のスマホ原体験であろう、WMとノキア、Windows系OSを搭載するNOKIA端末という、昔であれば想像を絶する形態の携帯となって戻ってきたかたちになる。
iPhoneがキャズムを超えたなどというには生易しい、まさに時代のアイコンとなってしまった今だからこそ、往年のモバイラーは自らが巣立ってきたかのOSやメーカーが、様々な変遷を得て作り上げたこの地に一度は帰らねばならないのではないか。そう思ってLumiaシリーズを欲したわけだ。

最初は安い520を買うつもりだったが、次に625が大差ない値段で手に入ると知って交渉を試みると在庫がないから820安くするからかんべんしてくれないかとなって結局こうなった。まあいい。ハイエンドでもローエンドでもないこれくらいが、プラットフォームを知るにはベストだ。

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NOKIA。
NOKIAとは、まあもうなんというか信者の欲目丸出しで言うなれば、本当ん本当に本ッ当に綺麗で体に馴染む端末である。言葉だけならずいぶんと安っぽくなってしまった北欧デザインという単語だが、まさにそこにあるのは北欧デザインの文脈から生み出された情報端末以外の何物でもない。
一言で言えばやさしいデザイン。
iPhoneの洗練された美しさ、シンプルであるからこそ生まれる現代的な「優しさ」ではない。また、木だの布だのマテリアルというスペックで表現されるアジア文脈での「優しさ」でもない、デザインと哲学の妙による人にやさしいデザインがそこにはある。

ここらへんはまあ使ってみれ、わかるひとはわかるというディスインフォメーションでディスコミュニケーションな投げやり説明文に終始してしまうわけだが、わかってしまった僕のような適合者がちょこちょことあらわれてはNOKIA信者と成り果てて北欧沼に陥り、Angrybirdにはまりボルボに乗ってIKEA家具で過ごすような人間になるわけです。なるかなあ。乗ってるのプジョーなんでまだておくれではないよね。

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丸みを帯びたボディ。

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単に考えなしに丸くしたという風情ではない何かを感じさせる。北欧デザインには良くある。

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カメラはカールツァイス。とは言うもののこの付近では板切れレンズであることはわかっている。
カメラの写りは使った感じ、サクサクでシャープに映るが暗所では色からして芳しくない

ちょっと力を入れてめきめきとはずすバッテリーカバー。これは無接点充電機能搭載カバーなどに付け替えることができる。iPhone以降のカバー文化でみんなすっかり忘れていた、本体の一部を丸ごと引きちぎって挿げ替える方式の「着せ替え」が現代に復活。

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こちらが問題の無線充電機能搭載カバー。同じ色を選んだが、表面処理はマットであり、デフォルトカバーのツヤツヤグロスとはおもむきが異なる。

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マット質感は思ったよりも高級で、プラスチック感はあるが丁寧に処理されたプラ感。グロスのほうが好みではあるもののこれはこれでよいものだ。

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バッテリーとフタ。SIMはminiSIM。SDはmicroSD。事実上バッテリを外さなければSIMやSDの入れ替えができないよくある方式。SIMカードトレイというものは昔からホットスワップできないようになっているものが大半だが、iPhoneや一部のスマホのように実現しているものもあるわけで不可能ではないはずだ。

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付属品は本体色と微妙にズレたファンキーな色のイヤホン、NOKIA伝統のクッッソ固い充電&同期ケーブル(なぜかNOKIAの付属品は昔から本気でケーブルが硬い)、NOKIA伝統のデカく凝った形のACアダプタなどだ。

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表面。
まあいまさら「今どきのスマホの表面」などiPhoneからブラックベリーに至るまで黒画面一色で見分けなど絶対につかない。WP機種は中央ボタンにWindowsマークがついているのがせめてもの差別点。

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起動。NOKIA。おおNOKIA。このフォントだけでもう満足しかける。いっそノキアチューンや「例の手をつなぐアニメーション」が流れればもっとよかったのだが

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さて今回のLumia820は台湾版であるからして、当然出てくる文字は台湾語、すなわち中国語繁体字である。しかしWindowsPhone端末の特徴で、おおむねワールドワイドの言語・IMEはすべて追加インストールが可能。
また、当然至極ながらSIMフリー端末であるからして、日本のSIMでもなんでも入れてしかるべき設定をすれば使える。電波法とかいろいろあるので画像にして入れておくとかあまり見せびらかさないとかの対策はちゃんととること(おい)

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タイルUI
あまり意識されてないけどフラットデザインの開祖はまちがいなくWindowsである。Appleはアイヴの権力がスコットより強かったら先んじてフラットデザインやってただろうけど。
それはともかく、タイルUIはおしゃれです。Windows8のメトロで評判は悪いけど、あれはWindowsNT系列で強引な移行をしようとしたから悪いのであって、このフラットでタイルなUIが独自にスマートフォンOSとして動いているのは、実際のところかなりマッチしてるし上質。

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解像度こそ480×800に"留まる"ものの、有機ELディスプレイであり、しかもペンタイルでないリアルストライプ。解像感やコントラストはIPS液晶のさらに一歩上を行く。バキバキにシャープなエッジは、WP8のタイルUIにはかなり相性がよく感じる。

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ブラウザなどを動かしてみるが、もうサックサク。820自体ミドルクラス機種なのだけど、ローエンドの520でも異常なサクサク感があるとのこと。このサクサクさがまさかMicrosoftの手から出てくるのはちょっと世界線を間違えたかのような衝撃がある。単に早いとか引っかからないとかでなく、AndroidよりもよほどiPhoneに近い、指と感覚への追従性を極めている印象。
なんだかんだ言って本気出せば本当にこういう部分も強いメーカーのはずなんだけどねマイクロソフト。

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日本語入力ももちろん可能。言うまでもなくインストールが必要だが。
驚いたことにはフリック入力が可能であること。さらに左右移動ボタンも付いているので配置自体はiOSより良い。ちょっとバックスペースの位置などで戸惑うし、変換精度はかなりそれなりに見えるが。

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検索ボタンでどこからでもbing。一部のAndroidにも言えるが、ホームボタンは置いておいてもクリア(バック?)ボタンのほうはかなり多用するのに対し反対側の機能固定キーは下手をすれば全く使わないためアンバランスに感じる。

さてさてこのおしゃれ感とサクサク性、ノキア仕込みの外装のやさしい北欧デザインと相まって、手にもってさらさらとブラウズしているときの安心感たるやただ事ではない。悪名高きIEも、WindowsPhoneにおいては単なるスマホ用ブラウザの一つでしかないので、特段ほかのブラウザと比べて見劣りするようなものはない。せっかくWindowsなのだからFLASH再生ができたらかなり良かったのだが。


ただし、ハマりまくった注意点がいくつかある

・端末の仕様は「地域」欄がすべてを決める

単に時計設定などのためのものか と思って安易に地域を変更すると大変である。まず正式に販売していない地域(日本のこと)ではSIMカードやキャリア、電波の設定がかなり怪しくなる。そ う、WindowsPhoneはこの「地域」欄で端末の電波仕様などを決定しているようなのだ。法律がらみなどの理由かもしれないが、正式に販売していな い地域(日本のことだよ!)ではAPN設定すらできなくなってしまった。地域欄は買った国や米国などに設定しておくことを勧める。

・言語パックのダウンロードは遅い
追加インストールするための言語パックはWiFiなどでネット接続されていれば自動的に取ってくる。ただこれがアホかというくらい遅く表示もないので、諦めて電源を切ったりすると永遠にダウンロードは終わらない。じっくりと待つことを勧める。

・APNのパスワードは使える文字に制限あり

今回あまりのことにひっくり返ったのがコレ。iPadのシムフリー版用に楽天SIMを使用しているのだが、さしあたってiPhoneのソフトバンクSIMをさした後はこれを挿してドコモ電波を取ってみようとするのは人の常。何の人だ。
SIMを挿入して問題なく認識し、さてAPN設定を、というところで爆死。

写真あとで追加
使用不可能な文字が含まれているという表示でAPNパスワードが入力できない。
どうみてもこの「%」だろうが、こんなのってないよ。

果 たしてこれは%をパスワードに設定するようなプロバイダが悪いのか、それとも想定していないNOKIAやMicrosoftが悪いのか、普通はどう考えて も、一昔前には国内最大の携帯キャリア2社がRFC違反のメールアドレスを許可していたような世界標準に疎いガラパゴス国家育ちのいち企業のポカミスに決 まっているのだろうが、iPadでは普通に設定できたあたりおいそれと決めつけるわけにもいくまい。


・MMSが使用不可
そんなガラパゴス国家のメールアドレス仕様のMMSがはお断りということなのか、ソフトバンクのMMSがどう設定しても使用できなかった。ここらへんはもうちょっと調べてみたい。

・台湾版ではLTEが有効化しない
発売国によってココらへんの設定は制限があるようだ。法律との兼ね合いか知らないが、この点は地域を買えても対応できず。
FieldTestモードに入って設定を変えるという方法があるようだが、Update3を適用後は使用できなくなってしまった。
3Gは普通に使用できるが、せっかくのLTE対応機でこれは哀しい。

・アダプタの扱いを間違うとSIMポートがブチ壊れる

やらかしました(真顔)

どの端末でも言えるがSIMアダプタにSIMをハメたつもりでカラアダプタを挿入してしまうと、SIMポートのピンが折れることになる。折れればSIMカードは使えない。動きはするが電話やデータ通信ができず、ほぼ文鎮である。
ホイホイとSIMを付け替える運用には、アダプタというものを介するのはかなり危険であるといえる。

ただし、かつてのマニアの多さがNOKIAの強み。修理サービスや代替パーツは日本国内であってもいくつかあるようだ。そもそもアダプタをからのまま入れて引き抜いたなどの危険なことをしなくても、SIMポートというものは意外と端子が折れるものらしい。MOUMANTAIストアでパーツが500円で売っている他、5,000円で修理も受け付けてくれる。自前修理にはハンダを剥がしとり、また付け直す作業が必要になるようなので、修理してもらうことにした。年明けには修理に出す予定だ。

このようなNOKIAマニアの多さに依る救いは周辺機器などにも言え、少し探せばAmazonなどで普通に保護フィルムや社外ケースが普通に手に入ったりする。100円均一ショップですら保護フィルムが手に入るiPhoneとくらべてはみじめになる一方だが、かつての砂漠のようなサポート不足から考えるとこれだけでもかなりマシといえる。

これらのハマリポイントを攻略またはスルーすれば、あとはなんということはない普通の海外スマホだ。iPhone用のAPNを設定してやれば普通にデータ通 信が可能で、通話もクリアでSMSもぴょんぴょん届き、TwitterやFacebookアプリの通知もリアルタイムで届く。

ちなみにこ れはあくまで私の手元の台湾版Lumia820のいちれいに過ぎず、正式発売もない情報不足OSの手探りなアレコレであることは断っておきたい。ああこの 感覚、この情報不足感、WMやS60を手探りで使っていたあの頃の感覚だ。と言ってももはや残っているのはノスタルジーだけで、できればそのような不安定 な状態は遠慮したいところだが。

そんなわけで何一つレビューしていないが駆け足レビュー。アプリは基本的なものはあるとのことで、基本的な使用に困らないだけの端末として仕上げれば常用も可能だろう。
そういうわけでNOKIA。Lumia820。本当にNOKIAというのは魅力的なメーカーである。引き続き使用していきたいと思う。


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ちなみにNOKIA伝統の着信音「NOKIA Tune」はきっちり入っていた。少し感動した。


広告ついでにLumiaの主なラインナップを紹介しておく。



最も安い520は一万円代で売っている。テザリングなどもできたりするので、試しに遊ぶにはうってつけ。



フラグシップ機Lumia 925。ただ、Lumiaはハイエンドからローエンドまでじつはそれほどスペックが変わらなかったりする。むしろ次に挙げるような特殊装備な機体のほうが狙い目か。








大型ファブレット1520や、脅威の4100万画素カメラ搭載の1020。今現在メイン機で使うにも十二分すぎるスペックだけでなく、一癖二癖もある特徴の持ち主だ。まあWPって時点で(略