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ああそうさMacbookやWin8のタッチ操作ブームに対応して定価4980円で出たのに今やしょっちゅう1980円で投げ売りされ、果てにはNTT-Xで箱汚れ980円でもややしばらくは売れ残ってたというレベルの不人気マウス、「Zone touch mouse T400」とはこのオレのことさ!
M560を買うかもと言っておいて買ったのがこれであったりする。いや、M705の代わりに使う気はなく、単に定期的に行われる投げ売り入力機器衝動買いである。
ただ、このマウスはG600などのレビュー時にもさんざ言ったように「大型中央ボタンを持つマウス」という3Dモデラー・CADオペレーターにはかなり親和性の高いマウスであり、気になっていたので渡りに船といった次第。気になっていたくせに1980円では買う気はないらしい。


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●概略

iPhoneに端を発しWin8とかMacの大型タッチパッドなどでタッチ操作が流行の兆しを見せ、静電式タッチパネルを組み込んだ入力機器の登場は枚挙にいとまがない。
ロジクールからも本命とも言える全面タッチ仕様マウスのT620や、MagicTrackpadのかなりハイクオリティな模倣品であるT650、最近出た超薄型タッチマウスT630などなど、登場しているが、T400は「スクロールホイールだけタッチ仕様であとは普通のワイヤレスマウス」というクラスに属するマウスである。マイクロソフトからは同様にExplorer Touch Mouseというモデルが存在する。やっぱり売れ残りマウスである

率直に言って「タッチ操作マウス」はいまいち成功しているとは言い難い状況ではあるが、それにしてもT400は別格というか、そもそもからして他のタッチマウスがWindows8のジェスチャ操作に対応しているのと比べ、T400は「ホイールがタッチ仕様」である程度で別段多彩な機能があるわけではない。一応ダブルタップしてズームなどの機能があることは有るのだが、中央部だけの非常に狭苦しいタッチ領域でそこまでいろいろやれるわけもなく。
また高価格帯域のマウスではないためそれらの要素のカスタマイズも最小限度。結局のところ4980円という定価の割りには低機能な色物マウスに落ち着いてしまって、さんざ値下げされて投げ売りされているわけだ。


●外観

ボタン数は左右クリックと中央タッチ部分のみ。進む戻るすら無い潔さ。

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どことなくH.R.ギーガー的なニュアンスのサイドグリップ。ゴミは溜まりそうだがグリップ感はすこぶる良い。

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接続はUnifyingでワイヤレス。当然内部にレシーバー収納可。電池は二本でバッテリ寿命は最大18ヶ月。

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モバイルマウスというほどではないが、かなり薄手で持ち運びは容易。ホイールの出っ張りがないというのも大きい。


●タッチ領域

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タッチ領域はMagicTrackpadやT650などと同じ材質のガラス製である。この点、タッチ領域がプラスチック製の他社タッチマウスやT620などとは違って、非常に手触りがよく評価が高い点だ。
実際にさわってみると素材フェチの自分はとても気に入った。この手触りだけで980円の価値はある。定価でないあたりがミソだ。

よく見ると1/4ほどの手前の一角は横線が入って仕切られているが、ここより手前をクリックすると中央ボタン、先をクリックするとWinキーの役割を果たす。
といっても機械的なボタンは一個だけで、MacのMightyMouseなどでおなじみタッチとボタンの組み合わせで2種類の機能を実装しているタイプである。MightyMouseは両指をおいたままクリックするなどの場合、うまく認識できずに左右クリックが混乱する場合が多々あったが、T400のような構成であれば指の第二関節から骨針が出てボタンをクリックできるような人外の方が用いる場合でない限り、2種類の機能は意図したとおりに動くはずだ。

スクロールは言うまでもなく、タッチゾーン上で指をスワイプさせることで行う。上下左右が可能。とはいえタッチするには領域が細いため、自在に左右スクロールという訳にはいかない。そのためか左右スワイプはブラウザでは進む戻るに割り当てられている。

●ソフトウェアとカスタマイズ
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相変わらずSetpointナシでも動くことは動くのだが、当然入れたほうがカスタマイズして使いやすい。

カスタマイズとは言うが余裕のあるボタンはないため、タッチ領域のカスタムが中心となる。
とはいえ好き勝手に機能を割り当てられるわけではなく、おおまかな分類としては、
・左右クリックの交換
・タッチ領域の前後の割り当て
・水平(左右)スクロールか進む戻るかの割り当て
といった感じ。シンメトリーデザインの上左右クリック交換可能なので左利きの人にも向く。

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タッチ領域前後クリックについては、「中央ボタン」、「Winキー」、「アプリ切り替え」、「デスクトップ」表示の四機能を、
『前』、『後』二箇所、または『全領域』のクリックに割り当てられる。
また、「タッチの前後のダブルタップでズーム」機能のオンオフ、「タップで左クリック」などの機能もある。言うまでもないだろうが、「クリック」が機械的ボタン作動のための「押し下げ」であるのに対し、「タップ」はボタン作動を伴わない、ちょんと触れるタッチ操作のこと。

これらの機能は一つ一つ独立したカラムで設定するようになっており、まとまりがないどころかタブが別だったりして統一感がない。
さらには割り当てが重複した時、自動的に交換してくれたりはしないというオリコーサンな仕様であり、思った通りの設定にするにはパズルの如く正しい順番での操作が必要になる。
素人目に見てもわかるほどのやっつけ実装であり、ロジクールの中価格帯域とは思えない仕様だ。Macっぽいビデオガイドなど表示させる前にもっと操作体系を練り直すべきだ。

デフォルトの機能割り当てについては、前領域でWinキー、後領域で中央ボタンというWin8を意識した仕様だ。私は即効で「前領域に中央ボタン、後ろにデスクトップ」に変えた。言うまでもなく3Dソフトでの操作のため。以前G600をSOC-U10の再来と称したが、むしろSOC-U10にそっくりなのはこちらの方だ。まあわかってたけど。

●使用感

マウスとしてはごくごく普通のロジワイヤレスマウスであり、センサー精度やクリック感などは定価4980円だけあって中級機並と言って良い。サイズも薄手だが適度でグリップ感や表面処理もよく、単三2本分の重さだけが少々気になるところだが、スタンダードなマウスとしては及第である。

タッチ領域のスクロールは何度も言うようにガラスが快感。また慣性スクロールが効くため、思ったよりも快適。
感度も適度かつ精密で、指を置いたらスクロールが吹っ飛んでいくようなこともないし指を動かしまくってうんともすんとも言わないということもない。大雑把だがスクロール行数の設定などもあるので、慣れれば細かい操作も対応できそう。
しかしブラウジングにおいては上下スワイプしたつもりが左右スワイプを誤爆して、スクロールしたつもりが進む/戻るになるという局面が多々あった。これは人間の側で曲がったスワイプ操作をしたからに他ならないのだが、そういうところを直感的に合うように補正してこそ今のタッチ操作ブームが有るわけでマイナス点だ。
防ぐには左右スワイプを水平(左右)スクロールに設定すればいいのだが、マウスで進む戻るが染み付いた身に進む戻るを捨てろというのは辛い。意図して進む戻るなどを操作するときにはそれなりに快適なので悩ましい。

タッチゾーン前領域に割り当てた中央クリックはとても押しやすく、やはり3D操作は快適だった。考えていたよりスクロールの誤爆も少なく、三ボタンマウスの使用感ほぼそのものとして使える。

というか、PCユーザー諸氏は、三ボタンマウスを使用した時(そもそも触れたことがあるかどうかすらわからないが)、スクロールさせようとして無意識に中央ボタンをすりすりと擦ってしまった経験がないだろうか。わたしです。それがそのまま正しいスクロール操作として通用するわけで、一種の感慨や快感を禁じ得ない。


●総評

タッチ領域以外では全体的に可もなく不可もない堅実なワイヤレスマウスである。タッチゾーンは「大きい中央ボタンとちゃんとスクロールできるタッチ領域の組み合わせ」と見るべきで、3D業務マウスとしてはかなり魅力的なものがある。手垢のこびりつきやすいマウスのホイールと違って衛生的にも有利だし、ワイヤレスと薄手のサイズは、モバイルワークステーション運用などにはかなり相性がいいのではなかろうか。実勢価格2200円程度、投げ売りで980円であれば使い捨てとしてもリーズナブル。

つくづく惜しむらくは進む戻るボタンの不在、タッチ領域に割り当てられる機能の少なさだろう。進む戻るを搭載し左右スクロールや領域タップやダブルタップにG600並に好き勝手カスタマイズが可能だったら、これはかなり魅力的なマウスとなっていたはずだ。そこまでいけば4980円が例え実勢価格でも私は喜んで買っていたと思う。
個人的な好みもあるが、「ガラスのタッチ式ホイール」にはハイパーファストスクロールホイール並みの先進的新境地操作体系を生み出すポテンシャルがあると思う。それをこのような980円投げ売りのショボ機能として埋没させてはいけないと思う。逆に言えばこういう実は結構すごいけどとっつきにくい機能がとっつきにくいまま放置されているから980円で投げ売りされるハメになるのだ。
売れ残りには福がある。安くなる以外の福もきっとある。たぶん。


そうは思っているけどまあロジのやることなので結局変機能の一つとして歴史に埋もれていくのであろう。それはそれでいいのだけど、3Dモデラーからするとどういう形態であれ「大きい中央ボタン」のあるマウスという存在だけは残してほしいものである。G600のアレも以降のマウスに搭載される気配がないし、黒歴史待ったなしと思われるので。