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前回より、未だにレーザー焼灼には先立つモノが程遠いわたくしですが、頑張って資金を貯めつつ一層のシェービングライフ充実を図るために数々の周辺アイテムを取り揃えてみても居ます。だから貯まらねーんだよバカが。
あれだけ言っていたのに、あれから揃えたのは両刃用の替刃詰め合わせと、ウェットシェービング用のソープとブラシ、そしてアフターシェービングクリームである。朝時間がないというに。

前回も言った通り、両刃用の四角いカミソリ刃は共通規格であり、世界中でさまざまなメーカーの物が存在する。
しかし揃えてみるとあまり製品製造で見かけないような国のブランドもかなりの割合で存在する。今回もパキスタンやエジプトなど、驚くべきレアな「メイド・in」を目にした。
電気シェーバーやおろし金のような多枚刃のカミソリが全盛のご時世に、敢えて両刃でクラシックシェービングを楽しもうというマニアはアメリカなどでは増えているとのことだが、途上国では趣味でもなんでもない日常の日用品として両刃カミソリが用いられているわけで、中国や東南アジアなどの世界の工場の魔手がまだ及ばない途上国のローカルなリアル産業がかいま見えたような気がしたけど、刃自体はそこまでエキゾチックなものではなく、概ねフツーの替刃。
購入先はあいも変わらずTraditional Shaving co.uk。あまり送料を気にしないというのは頻繁に買い物をしたくなって危険でも有る。相変わらず付属してくる謎の飴をぺろぺろしながら、刃の一覧を眺めていこう。

ひと通り順を追って紹介。

DORCO ドルコ プラチナムステンレス鋼 両刃安全剃刀(STー301) 替刃100枚

1:DORCO(ドルコ)

いきなりで恐縮だが、これはTraditional Shavingで売っていたものでなく。日本のどこでもフツーに購入できる稀有な両刃替刃。
メーカーは韓国で、他にも同ブランドのハンドルがあり、ダイソーで購入できる。

剃り心地としては、優しめな刃だがあまり切れ味は良くないと言ったところ。耐久性もさして高くなく、数日で取り替えるのがごきげん(死語)。利点は入手性の高さと最強に安いことであり、100円5枚はかなり衝撃的。刃によって切れ味などはあるものの、新品であるに越したことはないというのが概ねの真理である。性能はいいが高すぎるメルクールよりも実用的といえるかもしれない。


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2:MERKUR

メルクール。ドイツ製。
純正のオマケ刃だったが、危険なくらい切れ味は鋭かった。短期に1枚使っただけなのであまり詳しくは語れない。10枚入りとはいえ現地(?)価格でもその価格は異様に高い。


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3:Shark
シャーク。さめ。エジプトの会社で製造もエジプト。
なかなか欧米やアジアの感覚では出せないであろう、エキゾチックかつエキセントリックな配色のパッケージがGOOD。
位置づけ的にはドルコ上位互換と思う。鋭く剃れるわけではないがなまくらでもない。良いバランス。


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4:TREET
パキスタン製。レトロ感のあるフォントとデザインだが、別に狙ったわけでないんだろうなと思う。
少し角が立つが、切れ味は良くさっぱりと仕上がる。しかし耐久性はなにやらとても低く、あっという間にサビが来て剃るのが痛くなってくる。3日は持たない。



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5:Wilkinson Sword
英国企業ドイツ製。
バランスがいい優等生。切れ味は良いが肌触りもよく、1週間は難なく持ちプラケース入りで特段に難点もない。個体差も最小限に収まっていると感じた。
大本は中世よりの刀剣メーカーである。とはいえ剃刀の刃を作るに至るまでに紆余曲折を経まくっているためそのノウハウが生かされているかは不明だが。


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6:GILLETTE 7o'clock
アメリカ企業ロシア製。
世界のジレットは格が違った。取り立てて美点がない代わりに欠点もない。高次なバランスでまとまっている。
唯一、包装紙をつける糊が過剰なのか、べっとりと糊がついたままになっていたりするのが微妙な難点。
そもそも刃を取り替える両刃式安全カミソリというものを発明したのがジレットだったりする。いち早く独自カートリッジ式商売を始めたのもここだが。


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7:ASTRA 高級ステンレス安全剃刀両刃 替刃100枚入り P&Gジレット製 [ヘルスケア&ケア用品]

チェコ企業。マイナーな割にはバランスが良く、もうちょっと切れ味が良ければいいのだが。
実はジレット傘下であり、生産は同じロシア工場で作ってるらしい。道理で7o'clockと似ているわけだ。


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8:LORD
エジプト企業中国製?
プラケースの出来がひどい。最初刃が取り出せなかった。
刃の出来はとても良い。というかかなり独特で、ヌルヌルとヌメリ気を帯びているかのような剃り心地。非常に肌に優しい感じで、と言ってソリが甘いということもない。


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9:DERBY EXTRA

スウェーデン企業トルコ製?これが最悪だった。普通に剃っていてもザクザク刺さるような荒い肌当たり。
それで深剃りができるとかならまだしも、普通のヒゲすらろくに剃れない。不思議なことに肌だけが切れていく怖ろしい刃。
聞くところによるとクセが強く当たり外れが大きいらしい。しかし当たりがどんなに素晴らしくても、このハズレに当たる恐怖と闘いながら使い続ける理由が存在するとは思えない。


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10:CRYSTAL
イスラエル製。LORDとジレットを足して割ったような、ぬめぬめ剃り心地がありながらヒリヒリと(剃った肌が、というわけではなく)カミソリらしい肌当たり。耐久性も悪くはない。下記PERSONAの名で売られることもあるとのことで、どちらかがどちらかのOEMなのだろう。


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11:PERSONA(Red pack)
同じくイスラエル製。LORDをさらにスムーズにしたようなヌルリヌルリと肌に負担のない剃り心地ながら、心地よく深剃りができる。また耐久性もかなり高く錆びにくい。個体差かもしれないが何か刃の片方だけ剃れ難いようなクセがある気がする。
赤箱(Redpack)という割には青いが、これは昔赤だった名残(ややこしい)特殊なディスペンサーに入った米国製のLab Blueタイプと、中身はRedPackと同じだが医療用に滅菌・簡素梱包されたMedical Prepタイプなどのバリエーションが存在する。


フェザー ハイステンレス両刃 20枚入
フェザー ハイステンレス両刃 20枚入 [ヘルスケア&ケア用品]

12:フェザー
我らが国産刃。さすがに一応は日本で購入可能だが、店頭ではおそらくはドルコよりも見つけにくい。
切れ味は折り紙つきで、海外ではニンジャシャープの異名をとり高く評価されているらしい。
実際その切れ味は日本刀めいて奥ゆかしく、国産であることのアトモスフィアがスゴイ・ミリョクではあるものの、あからさまに日本人的肌である我々にとってそのワザマエは少々サツバツが高く、意図せずケジメ・セプクしてしまう可能性がある。コワイ!


以上がいろいろ揃えた刃の感想である。このうち個人的に気に入っているのはペルソナとロードであり、どちらもヌメヌメとした剃り心地が特徴的。各自の肌質や好みやハンドルの種類、持ち方によってベストなチョイスは決まってくると思うので、まずは試すしかないだろう。
何のことはなくここにある刃は(メルクールやフェザー除く)一箱が百円少々なので、全て揃えてもそこらの刃がたくさんついたT字カミソリの替刃よりずっと安上がりだ。

なお、ここに挙げたものはあくまでそのブランド、メーカーのいち製品にすぎない。同じメーカーでもクロームコーティングされた上位製品や、Personnaのように複雑なバリエーションなどが存在する可能性はある。どうも日本からでは情報が入りにくい。



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次に泡立てるシェービングクリーム。まずはTaylor of Old Bond StreetのShaving creamシリーズ。

http://www.tayloroldbondst.co.uk/acatalog/shaving-soaps-and-creams.html

イギリスの会社。
テイラー・オブ・オールドボンド・ストリートといえば紳士用品のおみせとして有名、だか知る人ぞ知るんだかわからないが、決して髭剃りクリームの会社というわけでなく紳士の身だしなみ全般を扱うジョンブルなお店。

さまざまな香りがあるが、今回は「ShavingShop」の香りをチョイス。平たく言うと床屋の香り。その名の通り床屋さんの髭剃りクリームの香りとしか言いようのないまさにそういう香りがする。
ほかにもサンダルウッド(白檀。線香の香り)やレモンライムなどのこの業界では定番らしい香りの他、「Mr.テイラー」や「イートン・カレッジ」「セント・ジェームスコレクション」などの意味不明な香りもある。べつにテイラーおじさんの体臭やらイートン・カレッジの若き学生たちの汗の香りが臭うようなその筋の方々大歓喜仕様というわけではないたんなるイメージ。だと思う。中を見ると柑橘系の香りにスパイスの香りやらがどうこうと、まあそういう香りがするんでしょう。
テイラーオブオールドボンドのクリームは泡立ちがしやすく、香りも強めで華やかなので、ブラシ初心者(?)でも楽に扱えると思う。

シェービング泡立て専用の石鹸、シェービングソープというものもある。

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こちらD.R.Harrisのアーモンドシェービングソープ。豪華なマホガニー材のケースに入って20ポンドほど。半分以上ケース代だ。中身だけ買って詰替えることもできる
D.R.Harrisはロンドン最古の薬局の一つで英国王室御用達と、これまた実に鼻持ちならないブリティッシュな化粧品ブランドである。紳士用が多いが女性向けも多々。


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次にブラシ。Edwin JaggerのBadger(アナグマ)毛のブラシである。
エドウィンジャガーもまたイギリスのシェービングアクセサリブランドとして知られる。高級老舗というわけでなくクラシカルながらカジュアルな値段帯から製品が買える。もちろん高級品も作っているが。
いい加減ココらへんの、カビとマスカットの臭いふんぷんたるエゲレス野郎の手の内から逃れたいのだが、シェービンググッズの本場であり、これらの仕入先 (Traditional Shaving Company)がイギリスのショップで、そもそも自分がそういうの大好きなんだから仕方ない。

さてアナグマとかそういうあまり見なれない妙ちくりんな動物の毛のものなんぞさぞかし高級品なのでは、と思ったのだが実際は20ポンド程度で買える。もちろん高級グレードというものは何にでも存在し、アナグマの毛の中でも「シルバーチップ」と呼ばれるおなかの毛のブラシはこれの10倍はする。ベストバジャー、ピュアバジャーとランクが下がって行くにつれて毛は荒い剛毛になるそうな。
また豚や馬の毛のブラシも存在し、取り立てて安かったり品質が悪いわけでもないようなのだが、英国紳士の嗜み的にはやはりアナグマでなければならぬようだ。

http://www.edwinjagger.co.uk/Shaving+Brushes/Best+Badger.htm


もふん。ちょっと使い込んだのでなんとなく毛が丸まっているが、実際はもう少しモフい。見た目モフいとはいえそこはわけのわからん動物の毛らしく一筋縄ではない。なかなかにコシがあるし先端は多少トゲトゲしく、毛はじっとりと脂があるかのようにぬめりとした手触りである。これがクリームの泡立てや皮膚のマッサージ効果、毛穴ケアなどなどの効果を生むそうな。
第一印象はとにかくクサい。ひたすらに臭い。嗅ぎ慣れた動物っぽい獣臭や毛皮によくあるけだものの香りでなく、実物見たこともねー変な動物にありがちな謎の臭いがする。しばらく使えばすぐに薄れてくるのであまり心配はいらないが、さすがに高級品だとここらへんはまた違ってくるのだろう。
ところでさんざ謎の動物扱いしてきたアナグマ君について、つまりはイタチの仲間でニホンにもニホンアナグマがおりムジナと呼ばれております。以上豆知識。

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さしあたりボウルを用意し泡立ててみる。本当はボウルも専用の泡立てやすい突起付きのものがあるのだが、いくらなんでも単なるお椀に結構な金額出すのはちょっと ためらう。まずは百均の小皿で良いとおもう。写真のように表面がざらざらしていればなおよく、良く有る泡立ちしやすいビールタンブラーなどの表面に似た質感を探すと良いと 思う。納豆泡立て皿とか最高なんじゃないかと思うが精神的にイヤかも。

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正式なやり方というのは存じ上げないのだが、濡らしたブラシをソープに数回こすりつけた後、ブラシを泡立てる皿でガッシャガッシャやると面白いように泡立ち、周りも汚れない。クリームの場合は指でとってシェービングボウルに放り込む。
配分はクリームが指先。あるいはソープならブラシ2~3こすりつけ。お湯がさらっと。何一つ具体的に伝わってない気がする。想像するよりお湯は少なめでいいはず。

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泡立てる。もっふりする。ツノが立つまで、と言いたいが別に食うわけではないのでじんわり泡になれば十分のはず。この素人設備ではそこまで泡立てられそうにないし。
D.R.Harrisのアーモンドは、言われないとアーモンドとわからないくらいの非常に落ち着いた上品な香り。クリームに比べて泡は立ちにくいが、たった泡はきめ細やかで高級感がある。

あとは塗りたくってヒゲを剃るだけ。塗りたくる際には皮膚と毛穴のマッサージをする感覚で。毛も立つし気持ちがいい。
剃り心地はオイルとはまた違った、ゆったりした心地よさがある。どちらが肌にやさしいかは正直知らないが、時間がかかることもあってなかなか優雅な英国紳士を気取れる。ジョースター卿もご満悦。

ちなみにこだわる&時間があるならば熱湯がいい。それなりにお湯を入れて絞りタオルと一緒に電子レンジに1分ほど放り込むのが便利だ。

熱タオルで顔を温め、その間カミソリを熱湯に放り込んでおき、温まった後熱湯を適量捨てて泡立てるという無駄のない動作。カミソリも熱されている方が切れ味が良いとされる。またクリームの泡立ちも段違いなので、時間がある日にどうぞ。

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使った後のブラシはきちんと水で濯ぎ、このように下向きに吊るして保管する。上向きだと残った水分が毛の根本にたまり、抜け落ちの原因になるそうだ。なお、いちいち言わなくてももう察したと思うが、当然ながらこのためのブラシスタンドなる製品が多数存在し、馬鹿らしいので百均のコップスタンドをひん曲げて代用しているのが私です。


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ここまでやったなら何かしらアフターシェーブなるジャンルも試してみたくなる。
テイラーオブオールドボンドstのアフターシェーブハーバルクリームを試してみる。

アボカドの香りと言われてもいまいち馴染みが薄いが、嗅ぐとああなんとなくというかんじの香り。臭い自体は弱くはないが、安心する香り。
しっとりときめ細やかに肌に浸透する感じが高級感があってよろしい。愛用のLUSHの洗顔料(思えばこれもイギリスだ。ギャース!)に通じる優しい使い心地と主張の強い香りのクリーム。
さすがにチューブの入れ物はヨーロッパクオリティで、フタを開けるととくに何もしなくてもダラダラと内容物がこぼれてきて閉口。こういうのはやはりちょっと高くても信頼性の有る入れ物の製品を選ぶに限る。マホガニーとかガラス小瓶とか。そういうのを並べた洗面台周りは、じつにおハイソで嫌味ったらしい感じになるので良い。

アフターシェーブ業界もまた様々な伝統やらあれやこれやが息づく世界であり、米英の連中はどれだけヒゲに手間かければ気が済むのかと思えてくる。
例えば古来よりのアフターシェーブケア用品としてアルム石があり、これはすなわち天然のミョウバンの結晶で、収れん作用や消臭作用がある。ミョウバンはあまり口に入れてよろしいものではなかったはずだが、伝統の前にそのような無粋は不要だ。
何にせよここらへんもこだわってみると面白いかもしれないが、レビューが非常にやりにくいのが難点か。肌に塗りたくるものに凝り始めるとだんだんスキンケアに勤しむ奥様の心境になってくる。


さて、溜まった分を散漫に語ってきたが、こういうレビューや体験はあまりネットにないので、試すものができ次第書いて行きたいと思う。相変わらず日本では流行の気配はないが、クラシックなシェービング界はなかなか奥が深い。
ダダ張りしているアソシエイトのとおり、最近は日本Amazonにもクラシックシェービング用品店がかなり怪しい日本語を引っさげ出店しているようだ。またカミソリ絡みの検索をしていると広告にミューレの両刃カミソリが表示されたりする。このようにだんだんと世間に浸透している気もするのだがいつ流行るんでしょうか。実際メルクールのレビューもヒット数多いし。


ミューレ 両刃カミソリホルダー [クラシックレイザー/メタル R89)ミューレ 両刃カミソリホルダー [クラシックレイザー/メタル R89) [ヘルスケア&ケア用品]
商標:ミューレ