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生活の半分以上をPCの前で占める一般的なPCユーザー兄貴の皆様ウォッシュウォッシュ。

そんな諸兄ならば当然のことながらキーボードに液体をぶちまけたことはおありであろう。匿名掲示板などにおいて、何がしかの液体を吹いたと自己申告しながら草を生やしている人間の9割くらいは、飲み物を吹くどころかほぼ真顔という調査結果が出ているのは周知の事実ではあるが、キーボードと液体のステキな一夜の出会いはネットでよく見る「登場人物が妙に芝居がかった口調の小粋な体験談」を見て笑うときだけに演出されるものでは、無論、ない。
例えば昨今流行りの大災害の類でキーボードが大雨洪水汚泥にまみれ、ついでに自宅が半壊して避難せざるを得なかったなどのちょっとしたミステイクもあるし、かと言えば清水ダイブで買った超高級キーボードリアルフォースの隣に、カッコつけだけで買った背の高いリーデルのワイングラスを置いせいで、ナンバーキーのあたりがカベルネ・ソーヴィニヨンのかぐわしい果実香に包まれてしまう大惨事まで様々ある。しにたい。
また、紳士淑女の皆様ならば毎日の日課に少々興が乗ってしまい、白かったり透明だったりする某かの液体を飛び散らせる真夏の夜の夢も一度や二度ではありますまい。

そのような個人的に洗い流したい過去はままあれどままれーど、染み付いた過去の汚点は制服についたケフィア(隠喩)のごとく取れにくく、また過去を洗い流して綺麗にしようなどということは、汚れてしまったキーボードを水で洗い流して綺麗に使用するが如く、困難であり難しいものなのだ…

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というわけでそんな声にお答えしてできたのが、ロジクールの水で洗えるキーボードK310です。実売2980円なので安いとおもいました小並感。

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箱。特段の付属品はなし。

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形状の分類としてはアイソレーションタイプ
あっ、これちょっといやかなりカッコイイですぞ。最近のこのアイソレーションタイプってほとんどがフレーム(枠)でボタンを分けてる、あるいは穴からボタンが覗いてるだけのスタイルなんだけど、これはフレームがなく、覗きこまない限り支柱が見えない、完全にボタンが浮いている浮石・アイランド型。基礎はほぼ完全にツライチ灰色の板で、その上に白いボタンが均一に浮遊しているように見える。影の具合からしてかなりクール。

Macのキー

MacbookAirを置くと筐体が浮いてるように見えるのと原理は一緒だけど。そのMacのキーボードですら結局はモグラたたきスタイルというか蓮コラスタイルというか、「穴からボタンが出てる」タイプの現状、このタイプのキーボードは結構珍しい。
ウォッシャブルに気を取られてスタイルを全然注視してなかったけど、これはとびきりカッコいいですぞ。それ以外はシンプル極まりないので、材質が良ければそのままデザインキーボードとしても通じる。

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107キーJP配列、スイッチはメンブレンでUSB有線。2.4mmストロークと19mmキーピッチ。配列は普通。

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キータッチは、2980円としてはかなり良い部類。ウォッシャブルだからといって、防水機器特有のゴムゴムしさや無理のある渋さは皆無で、押し込みの最初と最後でぐらつく感じが多少はあるけど、ストンストンと軽快に打鍵を受け付ける。筐体の軋みや打鍵時の引っ掛かり、擦れなどもほとんど感じない。もう少し軽ければベストな感じ。

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キーを引っぺがす。特別防水処置が施されている様子はない。支柱の奥にメンブレンスイッチがある、よくあるやつ。
表面処理はウォッシャブル機能のためかすこし独特で、よくある安プラむき出しというわけではない。サラサラ系。ボタン部もそれは同じ。また、刻印は水に弱いシールや印刷でなく、強固なレーザー刻印がされておりやはりウォッシャブル。

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表はモノクロだが、裏面は見るも鮮やかなブルー。裏面だけ派手な色でチラ見せという、流行りのカジュアルながらクールなスタイル。とはいえウォッシャブルでウォーターフレンドリーなアピールのためか、カラーはブルー一色。緑とかピンクがあってもよさそうなものだが、売れればカラバリも出るでしょう。

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排水口。中身はスカスカ。というか基盤が丸見えなんだけど、大丈夫なんでしょうか。ウォッシャブル以前に大丈夫なんでしょうか。

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掃除用ブラシがついてくる。ウォッシュするまでもないホコリや汚れなどはこれで除去しろということ。ブラシをくっつけたまま水につけていいものかどうかは記載がなく不明であったが、普通のプラ毛のブラシなのでどうということはあるまい。

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ケーブル部。さすがに端子部分は水がついても大丈夫とは行かない。そのためストラップ完備のゴムキャップがついており、これを装着することでフルウォッシャブル化を果たす。細やかな気遣いにご満悦。

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ロジクールキーボードということで気になるファンクションやショートカット機能としては、FnキーとFキーの組み合わせによって規定のアプリなどを起動できる。SetPointでカスタマイズも可能のようだ。
ちなみに最近のロジクールキーボード全般で言えることだが、このファンクション機能はiPadをサポートしている。音楽や音量の操作、Spotlight起動からホームまでファンクションで可能。アピールポイントだと思うのだけど、Bluetoothでないキーボードをカメラコネクションキットで繋ぐモノ好きは少ないのだろう。

まあ、つまるところK310はよくある、よくできた低価格キーボードだ。唯一にして最大の特徴こそが名前にもある通り「ウォッシャブル」すなわち「洗える」キーボードだということ。
何回ウォッシャブルと言ったかしらないが、早速そのウォッシュ性を試すことにする。汚れているわけでもない本体をレッツウォッシング。


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単に隣にお茶のペットボトルが置いてあるだけのキーボード写真だが、このキーボードが防水とかウォッシャブルとかだという前提で見るととたんに不穏なものに見えてくるから不思議である。

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とはいえ、烏龍茶はもったいないので水道水を口に含み、ツイッターやまとめで笑える創作話を探してみるもののこういう時に限って見つからないものだ。だんだん水がぬるくなってきたし、いくら洗えるからと言って比較的よだれの割合が高い水をぶちまけるのもあまりいい気分はしないので、素直にコップを倒して水がこぼれたという設定で乗り切ることにする。

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おおっと手が滑ったああ!

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だばあ

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ふむ。

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だばあ

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だばばば

2秒ほど手を滑らし続けたあげくおかわりまでして大いに水をぶち撒く。

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さっそく水で洗い流すんだ!流水を喰らえッ!ウォッシングッ!

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ひたすらにどばばば
研磨剤などを含まない食器用洗剤などをつけて手とスポンジで優しく洗ってくれるッ!食洗機などはNGだッ!

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タオルで拭いて乾燥させてあげましょう。ケーブル部などは流石に洗剤などはNGだろうなあ。
ちなみにストーブの付近やドライヤーでの乾燥などはせず、自然乾燥に近い形で乾かすべしとのこと。写真を撮るために近づけましたが実際はもっと離して乾燥させています

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みごと美しく復活。ウォッシャブルなキーボードはウォッシュドなキーボードになりました。しゃしんつかいまわし。

洗ったからといってさほど影響は感じない。もちろんキーが効かないとか渋いとか押しっぱなしの状態になったなどの不具合もない。これで水をこぼしたり、猛烈に汚れたキーボードになっても安心安全である。

とある研究によれば、洗浄していないキーボードの表面は、屋外トイレの便座よりも雑菌が多いとか。普通のキーボードであればキーを取り外して洗うか、慎重に除菌液でもシュッシュするところだが、このK310であれば定期的なまるごと洗浄によってキーボードを清潔に保てるであろう。

ただ個人的にはその雑菌がどうのっていうのははっきり言って信用ならないというか、同種の報告は携帯電話にもあり、しばしば除菌系商品の宣伝文句ともなっている。しかしキーボードや携帯電話に触って手が腐ったなどの報告が有史以来無いところを見ると、そうそう気にするものでもないだろう。雑菌とは言うが、大半は触れたり少量体内に入ったところで毒にも薬にもならない隣人にすぎないし、数だけを言うならば皮膚常在菌や体内菌の数を数えれば余裕で便座を超えていきそうな気がする。もやしもん読んでれば分かるよね!まさかキーボードをぺろぺろ舐める人もそうはいないだろうし。
まあホコリとか食べかすとかキタネーもんを一掃出来るだけで十分だと思うよ。


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さて、ウォッシャブルウォッシャブルと喚いてきたが、そろそろ重要な核心に触れなければならない。
すなわち『「ウォッシャブル」とは「防水」ではないのか?』という究極の疑問である。

世に「防水キーボード」なるものはいくつかある。つまり水につけると動かないが、洗うくらいならば動く、という単純なことだろうか。一応、K310の注意書きには「洗った後はちゃんと乾かしてから使ってね」系の文面がたくさん並んではいる。「水ついたまま使うなよ」ともいわれている。

だがしかし、これは言ってしまえば当たり前の話だ。
なぜなら「普通のキーボード」も、厳密に言えば「洗える」のだ。キーボードだけではなくPC本体ですら「洗う」事はできる。恐ろしく古く汚れが染み付いたPCを洗ったら割と調子が良くなった、というのはたまに聞く話。
電子機器はなぜ水に弱いのか。それは電気が水を伝って、本来ありえない回路と回路がつながる(ショートする)から。電気が通っていなければ、水につけたところで爆発も破損もしない。
それともうひとつ、端子が水によって腐食し、錆びて電気が通らなくなることもある。このため、PCを「洗った」あとには、徹底して水気を取り、乾燥させてからの通電が大前提となる。そうでなくては通電中に水につけたのと同じくショートして爆発するか、端子が錆びて電子機器として死亡する。

これならばK310も全く同じ事なのではないか?しかしここまでのリスクを抱えた上での「洗える」を、製品として可能と称するのはちょっと苦しい。どれだけ乾燥させようと、水分が残っているリスクからは逃れられないからだ。
そのリスクをクリアするということは、ショート・腐食の心配もしなくて良いということで、基本的には「電子部品が水に接する事がない」モノでなくてはならない。
それってつまり防水じゃん?

防水というと水没を想定するが、IPXでも定義されるように流水に耐えるというのはかなり深い水没と同じような過酷さに耐えるということでもある。流水OK、沈めてもOK、洗えよベジータ、というこのK310は、「防水」でなくてはならない。ならんのだ。


というわけでおそろしい実験を敢行してみよう。言うまでもなく、ロジクールの推奨する使用法から逸脱しており、これで壊れても保証の類は無理筋である壊れたら困る人は絶対に真似しないように。
だがなあに2980円ごとき免疫力がつかなくても、神性なる実験の犠牲には安いものだ。真性の馬鹿だな君は。

ただK310は壊れて構わなくても、万一ショートした場合キーボードからのムチャクチャな入力によって、PCが壊れてはたまらない。まあ壊れるというかよくわかんない入力でよくわかんない動作したら困るという話だが、キーボード操作だけでCドライブ全消去だって理論的には可能だ。部品を箱に入れて振ったらロレックスが組み上がる確率よりは高い確率で起こる。

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今回は安心安全のiPad接続にしてみた。これならばいかにとんでもないランダム入力が行われても、せいぜいメモ帳が文字化け状態の文字で覆われるとか、ホームに戻る、音楽が再生される、音量が変わるくらいで済む。億に一つでおかしくなっても復元すりゃいいし。
上の写真はUnifyingのキーボードであるK750を接続してみたところ。当たり前だがこれでも使える。
ちなみに場合によってはCameraConnectionKitにキーボードを接続した際、このアクセサリは対応していないよという旨の表示が出ることがあるが、ほとんどの場合普通にキーボードは使用可能なのでご安心を。


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では接続したまま水没させてみよう。通常、端子が水でショートしたら盛大に誤入力がはじまるものだが…はいぼちゃんとな。

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本当は全水没させたかったのだが、お風呂がつかえなかったの。

さて、水没させたところ誤入力などの類は起こってはいないようだ。しかしあらぬ方向にショートして入力がされていないこともあり得る。
おそるおそる、水没したキー部分を打鍵してみると…

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打てた。


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ナンバーキー側も打てた。


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正直言って壊れるまでは行かないもののひどいことになって、「ロジクールの言ったとおりだったね!濡らして使うのはNGだよ!」みたいな締め方をしようとおもっていたら想定外の外で唖然とした。
水没させたままのキーボードで、入力が全くの誤作動もなく打ててしまった。

しかし当然なのかもしれない。真面目に「洗えるキーボード」として作っているなら、多少の水没程度では全く問題ないように作ってあるのはほぼ確定だろう。であれば防水キーボードとして売らないのはどうしてか?

全くの個人的な憶測で言うなら、意味が無いからだ。キーボードを洗えると聞いてその便利さを享受できる消費者は数多いだろうが、「防水キーボード」とだけ聞いて「じゃあ洗えるな」ということに気づける消費者は決して多数派ではない。「防水キーボード」と言われたって、何やらアウトドアで使うようなものなのかとちょっと距離をおいてしまうだけだろう。それを「洗える」という新機軸の価値観でもって提供しているという戦略だと思う。

日本メーカーがやってる、IPXナンボの防水ができますとか言って売ってるスペック厨気味な防水製品の中でこれだけ消費者の利点が明確にされている商品はなかなか無いだろう。ましてや防水性能をほどほどにして、洗えるというユーザーの利益にフォーカスを絞り、デザインやコストパフォーマンスを確保しているなどとは。ここに日本モノ作り衰退のヒントがあるよ。きっと。


それにしてもなんとも恐ろしい真実を知ってしまったものだ。ロジクールはこれを隠し、ウォッシャブルなどというよくわからん単語でごまかしていたのだ。私は大々的に告発しよう。これは、K310は、ウォッシャブルの名を語ったその実は、防水キーボ…


ドスッ(腹にUnifyingアダプターが突き刺さる)
うぐっし、しまった既に"奴ら"が…!く、か、体が操作されて…!うおおおー!



トイウワケデ、ウォッシャブルキーボードK310でした。皆様はくれぐれもお風呂に入れて使ったり、キッチンコンピューティングに使用したりせず、洗えるキーボードとして使いマショウ


実際のところこんな短時間で防水性能を完璧に検証できるわけでもなく、メーカーができないと言っている以上はそれ以上をやっても保証は受けられないということで、そんな使い方はおすすめしないし、水没させて使ったら3日で壊れた、などの事態になってもこちらは責任を負いかねます

ただ、風呂やキッチンで使うのは素晴らしく有効なキーボードであるのは確かだと、「※個人の感想です」にとどめていっておきたい。
それもふまえて、「なぜBTやUnifyingで無線式にしなかったのか」とつくづく残念でならない。洗うのにも都合が良かろうと思うのだけど。おなかに刺さったアダプタを見ながら思うわけです。


LOGICOOL ウォッシャブル キーボード K310LOGICOOL ウォッシャブル キーボード K310
販売元:ロジクール
(2012-11-09)
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