エラソーに書いているが最初にぶっちゃける。なんでイヤホンを買ったのかというとXBA-1IPとApple In-Ear Headphones with Remote、両方なくしたからです。
おおおおおおおあああああああああああああああああ
何故にこのような失態を。おのれおのれこの馬鹿者がこのしねしんでしまえ。
一億歩譲って、XBA-1IPは常用してたからどっかに落としてしまった、というのもありえるよ。しかしAppleIEはなんで失くしたんだ。使わず家に保管してたものを。残ってるのは替えのイヤパッドとフィルタだけっておいいいいいいいい
この頭からつま先まで注意力というものに欠けた産廃人間が。しにさらせ。何偉そうに新iPhone5に向けてとか称して迎え撃っちゃってるんだウスノロやろうが。イヤホンなくして音楽聞けないだけだろカス。
なにが酷いって、この新イヤホン買ってももはや俺には比較対象になり得るようなイヤホンが手元にないという間抜けな状況が腹立つううううあああああああ
すいませんとりみだしてます。hf3の説明は以下。
ETYMOTIC RESEARCH hf3!
イヤホン通の間では高音質と紙装甲を兼ね備えたマニア向け銘機とされるERシリーズを有するエティモティック・リサーチがついに(まだかろうじて)一般向けとしてリリースしたイヤホンがhfシリーズである。
あの修理買い替え需要を狙っているとしか思えない脆弱なケーブルと、オスプラグ側に間違えてチップがついているようにしか見えないボディを捨て、フツーのケーブルとフツーの筺体に、名物「三段キノコ」とバランスドアーマチュアドライバを引っさげた使いやすいイヤホン、それもhf3にはiPhone用マイクリモコンまでくっつけるという色気の出しっぷりに、あの補聴器屋はついに経営が危なくなったのかという噂がまことしやかに囁かれたりはしていないグッドなイヤホンでござる。
て言う割にはやっぱりプラグ側にまちがってキノコ生えたフツーのイヤホンにしか見えない。まあミニマルとか言っておけばいいんではないでしょうか。
内容物。りっぱな梱包と、小さいキャリングケースが付属。キャリングケースにはイヤーチップとフィルタ交換器具。
色はコバルトブルー。文字通り色気がある事自体大きな進歩。
この色、単なる青かと思えば紫がかった灰色に近いような、ラバー塗装のようなツヤ消しの質感でありながらパール塗装の奇妙な光沢がある渋い色。よくみるとケーブルもタダの黒や灰色でなく、比較的ツヤ消しのチャコールグレー。写真で伝わりにくいが一筋縄ではいかない色だ。
カラーは他にレッドとブラックがある。
ストレートな筒とキノコのシンプルかっこ良いスタイル。コレにかぎらず「筒」状のイヤホンてまさしくBAイヤホンっぽい感じがしていいよね。
エティモのみならずプロ(とマニアと変態)向けイヤホンにありがちな、ケーブルY字部が意味のわからん大仰な保護パーツに覆われているとかなぜか途中からツイストペアケーブルになってるとか針金が入っているとかそういう無駄な要素のない、スタンダードなケーブル。Apple純正などに見られる絡み防止タイプのエラストマーと似た感じで、絡みにくさも多少ある
リモコン部。スマホ全土でデファクトスタンダードになりつつある4極3ボタンマイク付き。
押し心地は上々。XBA-1は変にiPhoneを意識して変な形のボタンになっていたきらいがあるが、同じようにできないなら丸3つ古典スタイル、という潔さ。
ちなみについている向きは純正と同じ右側。やはり左についてるSONYなどの仕様こそが謎だと思う。
なんだかぐんにょりしているプラグ部。柔らかく曲がるわけでも曲がっちゃったわけでもなくこれが仕様。
プラグ基部の太さについては、Creave(偽)とVapor(偽)にも干渉せず収まったため問題なしといえる。XBA-2以上とかSHUREとかは多くのメタルバンパーでは使えないのでありがたい。まああそこら辺まで行くと直繋ぎの愚より気休めFiio程度でもラインアウト接続のアンプが欲しいところだが。e1とかAT-PHA30iとか。メタルケースによってはそれすら接続不可能だけども。
キノコとなかまたち。フツーの耳栓タイプやフォームウレタン式イヤピースもついてくる。3段キノコは人によっては耳奥が痛いのでありがたい配慮。
ちなみに耳栓タイプは最初から半分裂けかけていた。キノコの耐久性にも暗雲立ち込める。3段の先端部分だけもげて耳の中に入ってしまったという事例もあるそうな。まあおろしたての今現在ではそれほどヤワにはできていないので劣化してきたら早めに交換するようにしたい。
フィルター交換ツール。緑のフィルタチップ付き。
さて相も変わらず、音質を想起するにはなんの足しにもならない説明を少々ば。
エティモティックリサーチは元補聴器屋(今も?)としてのスキルを生かし高品質なイヤホンをリリースするメーカーです。代表作ER-4は前述のとおりヒデエ見た目と脆弱すぎる作りとそれをカバーして余りある高音質が特徴の人気イヤホン。
ドライバにはおなじみのバランスドアーマチュアを搭載するが、SHUREなどのように多ドライバではない。その理由は「ドライバ2つあったら音混ざるやん(意訳)」という漢らしいもの。その分高域低域は多少幅が狭いが、驚くべき自然さと分離感をもたらしてくれるとのこと。
また補聴器屋として人間の耳と聴音に関してはエキスパート中のエキスパートであり、知り尽くしたがゆえに生まれた「3段キノコ」型フランジイヤーパッドによる遮音性の高さも魅力。
というER-4の特徴をだいたいそのまま新筐体に移したのが今回のhf5/hf3。
さっそく装着し聞いてみる。まずは音質面。
いままでAppleIEやXBA-1などバランスド・アーマチュア式イヤホンを使ってきた耳からすると、まずそのクリアさに驚く。
いやBA式だってダイナミックと比べれば素晴らしくクリア低ノイズ悪く言うと迫力なしなのだが、hf3は更に一味次元が違う。高解像度とはこのこと。
高音低音も格段に広いわけではないがシングルBAとは思えないほど広いし、温かさなどもなかなかあって、音を大きめにしても耳に痛くない純粋な音、といろいろ言えるのだけど何はともあれこの解像感。一つひとつの音が浮いているよう。これはXBA-4などなどに感じる高音低音が好き勝手にバラバラという意味ではもちろんない。鳴ってるもの同士の距離感もわかるような高解像レティーナ液晶な音だ、と無理やりiPhoneと関連付けてみる。
オーディオ世界の「解像感」というのは何か多分に「超解像」液晶などを思わせる強調感があるものが多くて、オラオラわかりにくいとこなんて無いぞ全部見せんぞという勢いがある感じなのだけど、これはほんとにリサイズ無しのRAW画像という感じ。
ノイズリダクションとレベル補正とシャープネスでくっきりさせたVGA画像がそこらのイヤホンとすると、別段何もいじってなくて場合によっては黒つぶれとかブレとかいろいろしてるけど解像度は2000万画素の画像がhf3。
また、そういう押し出しがないだけあって音の優しさが少々異次元。ハードな曲を聞いていても眠れるレベル。もちろんイヤホンとして、刺さるサ行とかが無いわけではないし、かなり著しく頭内定位っぽいというか「耳から音が鳴っている感」が拭えないというか、肉耳(?)同然というわけではないのだが、不思議な優しさと懐の深さがあり聴き疲れしにくい。実際にしばらく通勤で使ってみたが居眠りが増えた。
特別に迫力がないというわけではなくまず自然。ひたすら自然。そしてフラット。厳密に言うと「フラットに感じる」ということだが、ここまで見事ならばオシロスコープでない我々にその区別は不要だ。
自然で耳に優しく聞き取りやすい。どこからどう見ても補聴器ではないか。やっぱ補聴器メーカーなんだなあーと、当たり前とも言える感想が残る。でもこの「当たり前」こそがメーカーの超えられぬ壁。レコードカートリッジ屋もマイク屋もウォークマン屋もレコーディング機器屋も、結局その原点に根ざしたモノ作りからは100年経っても絶対に逃れられない。もちろん音に限ったハナシではないですね。
そんな補聴器であるhf3がオーディオとして楽しめるか、というともしかするとイエスとは言い切れないかもしれない。味付けと演出はやはりオーディオの華であり、原音再生などというのは昔のオーディオ全盛期ですら世迷言である。味付け演出と聞いてボーズ等というブッ突き抜けた代表例を持ち出すまでもなく、独自の音には熱烈なファンが大勢いるし、原音より良いオーディオなんてのは個人嗜好なら別にハイエンドオーディオでなくても普遍的に存在する。
だがまあそれを言うならそもそもhf3の音だって原音ではない。現実の音はこんなに聞き取りやすくないし優しくもなく常にフラットでもない。こういう補聴器的演出世界観だと考えるとなかなか楽しいのではなかろうか。エティモティック・リサーチが唯一無二の高評価と信心を得ているのはおそらくココらへんがキモ。今でこそ補聴器メーカー発のリスニングイヤホンはいくつかあるが、先駆けたるER-4はまさに神格化されるのも納得の一品というわけだろう。とhf3を手にしたごときで勝手に妄想。
とりあえず音質はこんなかんじでGoodである。順序が逆転する気がするが、一方装着感などはどうか
まず3段キノコは一般的なカナルとはだいぶ趣が異なる。普通のカナルなら耳の穴に詰めて保持する感覚だがhf3+3段キノコは耳の奥まで押しこむようなイメージになる。耳の奥まったところに触れる感覚と気密性の半端無さから、乱暴につけると耳奥に痛みが走るということすらある。
またカナルは詰めてしまえばさほどポジションを気にしなくていいが、3段キノコはしっかりと耳の穴を埋め尽くす形で鎮座させなければたちまち音の聞こえが変わってしまう。
となにやら難しそうだが、この程度のことはつけ慣れてしまえばどうということもないレベル。耳の形や感覚は多様であり軽い耳掃除すら痛くて出来ないという人もいるため、どうしても3段キノコが合わないという人がいることは想像に難くないが、そのためにこそ付属しているのがフツーのタイプのイヤピース。こちらはいたって普通のカナル式のつけ心地である。
3段キノコはつけてしまえば極上の遮音性を誇る。ここまでいくと確かに聴覚が奪われると言って良く、外出の歩行時はまだしも自転車などでの使用は全くおすすめしかねる。
個人的には一般的なイヤホンやヘッドホンのたかが知れた遮音性と、一般人が日常的に使うたかが知れた音量程度で、『聴覚が奪われるので事故の危険がある』などと吹聴したくないのだけど、hf3(そしておそらくはER-4も)クラスになるとさすがに話は別。十分に注意を払う必要があるだろう。
逆に言うと音漏れなどは全く気にする必要はなくなる。どれだけ爆音を立てたとしても恐らくは音が漏れる以前に鼓膜が破壊される。補聴器メーカーの手になるものを用いて補聴器のお世話になるという若干マッチポンプな事態になるのも面白く無いので、音量はこころもち控えめにしたい。控えめでも十分聞こえる。
ただ音漏れや遮音性の心配はないが、その密着感からケーブルのタッチノイズは一際気になる。hf3に限った話ではないがSHUREがけの出来ないイヤホンの場合、ケーブルを首の後に回すようにするとだいぶ軽減できる。
また、屋外や歩行時に装着していると僅かな風でも風切り音が聞こえたりする。これはどうしようもない。
というわけでETYMOTIC RESEARCH hf3。この内容で実売10000円程度(サウンドハウスで9000円、Amazonで11000円)の品なわけだが、満足感は非常に高い。
イヤホンと言うよりも大げさに言えば録音音声世界に対する補聴器である。総括してひたすら耳に心地良いのが特徴といえる。これが1諭吉であれば文句は全くない。イヤホン愛好家ならば絶対にER-4もしくはこのモデルを所持すべきだろう。
さてhf3を買ってよかっただろうか?と聞くと実はちょっと失敗したかもしれないと思っている。ここまで褒めておいて何故。
実はPCのDAC(CARAT Ruby)にもつないで聞いてみたのだけど、あまりにiPhoneと音が違いすぎて戦慄したのです。聞こえ安さと解像度故に、ソースの音質が激しく影響を及ぼすわけで。
もちろん巨大なアンプを背負って歩くわけではなくiPhoneからの音質で我慢するほかないのだが、もしかしたらこの先わたしはポータブルヘッドフォンアンプを買って音質向上を図ってしまうかもしれない。その際にhf3のリモコン部は使えない。つまりhf5(少し安いリモコン無しモデル)で済ませて差額をアンプ代の足しにすれば良かったのではという恐るべき真実に気づいてしまったというわけです。
とはいえこの先使うのってiPhone5に対してだし、iPhone5(というよりミニサイズのDock)対応のHPアンプが出てくるのはまだまだ先でしょう。リモコンついててもアンプにつないで使えないわけではないし、このタイミングではhf3でよかったのですね、多分。そうおもっておこう。
ともかくhf3/5あるいはER-4S。ものすごくお勧めです。
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真打ER-4Sに手を出すのもいいかもしれないが、前述のとおり壊れやすい、見た目が酷い、リモコンがないので注意。iPhone用に効率を高めたER-4Pというのもある。
…ところでそもそもiPhone5のイヤホン穴は本当に4極のままなのだろうか?いや、まさかそんな、あはは。
iPhone5発表時に情報確認、発売後に使用確認はします。ただ普通に考えてそのまま4極ですがね。
※発表後追記:付属イヤホンはEar podの名称で新しくなりましたが仕様は4極で変更無し。高確率で使えるはず。穴は下に移った。イヤホンジャックねこが…
※購入後追記:何一つ問題なくフル機能使えました。当たり前とか言わないの。