あついなつである。夏は熱いものであるし異常気象というのは季語なのでいまさらおかしくもない。

さてエアコンのない当家では、例の宇宙人とのコミュニケーション装置、別名扇風機を使って涼をとっているのだが、いかに北海道と言えどもこれではまさしく焼け石に水。風が当たっている間は涼しくともすぐまた熱される。このサイクルはあまりよろしいものではない。そして窓を開けていても部屋の空気が淀んで熱の壁になり、うまく空気が行き渡らずぼんやりする。
もちろんエアコンを購入すれば万事片が付くのだろうが、いろいろな事情でそういうわけにも行かない。だいたい高いし。こういう場合熱にうだる人間の進むべき道はというと、外に出てコンビニやスタバ、マンガ喫茶等で時間を潰すのがベストだ。以上解決。

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…なんですかその白い目は。

というわけで買って来ました。アメリカはVORNADO(ボルネード)社製の大型エアーサーキュレーター、733-JP登場です。

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ドドドドド


とりあえず「サーキュレーター」というものについてあまり一般的ではないようなので説明する。
これは何かというとぶっちゃけ扇風機の強化版。ファンを回し風を送る。では扇風機とは何が違うのかというと、用途が違う。扇風機の用途は風によって涼を得ることだが、サーキュレーターは部屋内の空気を循環させることが目的。

りかのじゅぎょうで習うことだが、空気の特性(というより流体と重力の関係)として、上方に暖かい空気、下方に冷たい空気がたまるようになっている。かていかのじゅぎょうで習う「頭寒足熱」にとっては真逆の構造であり、あまり体によろしいものではない。
この状態の部屋などにサーキュレーターを投入すると、部屋の空気を上下関係なく強制的に循環させることができ、温度を均質にし快適にする効果が期待できるというわけだ。
このサーキュレーターの働きを「対流を起こす」と表現する場合が多いが、「対流」は暖かい空気が上、冷たい空気が下に行く事で起こる流れを指す。つまりこの場合は、むしろ対流が起こっているからこそ温度不均衡を生じているので、サーキュレーターによって不均衡を解消することを「対流を起こす」と称するのはふさわしくない。というこくごのじゅぎょう。

扇風機も、体に直接風を当てるのは良くなく、部屋の壁に当てて空気を回転させれば良いとしばしば言われるところだが、実際のところ市販の扇風機は人肌に当てることを前提に送風しているためか、例え強風にしても、部屋の中の空気は上手く回らない。
サーキュレーターの送風は直線的で、遠くまで届く強力なものであるため、人体に当て続けるのは冷えすぎて良くないものの、部屋の空気を回すことには長けている。おおまかな扇風機との区別はこんなところ。

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かなり大きい


さてそんなサーキュレーターの業界トップとされるのが今回買ったボルネード社。このメーカーは以前会社のオフィスに導入し、信頼性と性能には一目置いているのである。【ボルネードサーキュレーター】等と書くと完全に風属性大魔法か何かの名前にしか聞こえなくなってくるかっこよさだ。
今回の733JPの購入はコストコで9800円。扇風機に比べると少々割高と言わざるをえない。通販とかだと一万円台半ばなのでお得感はあるが。
一般的にはヤマゼンやツインバード、ハネウェルなどのサーキュレーターが2000~からとお求めやすい価格で売っているが、トップの貫禄かボルネードは多少価格帯が上。
話によると、静音性なら無印良品のサーキュレーター、強力さならボルネードという定評があるようだ。パワーは正義。まいといずらいと。まはといすとれひと。それにコストコでの買い物ならば、少し使っても気に入らない場合返品できる。このアメリカンな制度は悪用しない程度に活用していきたいところ。

このモデル、733JPというからには日本仕様なのだろうが(そもそも箱や説明も日本語だが)おかしなことに日本で正規販売している様子がない。楽天などで検索すると並行輸入品などが見つかるものの、日本ホームページにも載っていない謎のモデルだ。コストコが独自に仕入れているのかもしれない。
並行輸入、個人輸入の場合電気周りがどうなのかはわからないが、90ドルくらいで売ってたりして場合によっては安いかもしれない。少なくとも楽天などの怪しげな値段帯のものを買うのはおすすめできない。


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扇風機サイズと比べるとファン径自体は大差なし。これで12畳~40畳用であり、気流は30m先まで届くという。さすがはアメリカ。ジャパニーズモンキーの鳥小屋たる我々の邸宅からするといささかオーバースペックかもしれない。
もっと小型の530Jというモデルもあったりして、部屋用などに買うのはこちらがオススメ。ただ値段は7000~8000円と、この733JPのコストコ値段と大差なく悩ましい。でかいことは良いことだとアメリカンな面持ちで行こう。そもそもファン径が大きいほうが効率もよく音も静かだ。

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裏部。ダイヤル式のスイッチ。最近何でもかんでも電子制御になってしまった扇風機と違い、ハードウェアスイッチでON/OFFと調整が可能。というのはつまり瞬間的に停電などをしたとしても、復帰後に動作が停止することはない。昔ながらのハードウェアの良さと信頼性とも言えるし、電源復帰時の再起負荷の原因とも言えたりする。
ただしスイッチは順に「OFF・強風・中風・弱風」というちょっと特殊な配置。電源入れて即座に最強というアメリカンスタイルであるとかウソ臭い説を垂れてみる。扇風機と違って頻繁に変えるものではなく慣れれば特に不便はなし。

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無骨な黒いボディがアメリカン。まあ材質はプラスチックで特に高級感はなく業務用っぽい感じ。
ボルネードのデザインは一般的な白物家電のような野暮ったさはなく、かといって±0だの無印だののシンプル系デザインほど媚びてもおらず、けれどもなかなか特徴的でおもしろいデザインをしている
733JP、3段階の角度調節を有しているものの、ファン部とスイッチ以外には何一つ可動部品はない。カラクリはこうだ。

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ごろん

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ごろん

つまり本体全体をまるごと転がして角度を決めるのである。特徴的な形のスタンドは飾りではなかったというわけだ。なんというか、なんてことはないけど大胆な発想だと思う。

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面白がって転がしているとガタンゴトンと床に傷がつかないか不安になる向きのためには、このようなゴムシートシールが付属している。スタンド部分に貼って使う。

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…なんだかド適当もいいところのサイズな気がするが、まあ気にすまい。

自作PCの経験から言って、このような回転するぶったいは接地部にゴムシートを貼れば制振すなわち静音化にも寄与するはずなので積極的に装着したい。

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設計上の使用期間は8年となっている。基本的にぶっ通しで動作させ得るものなので、(1日3時間使用)とかそういう注釈のないまるごと8年なのだと思う。逆に一日1時間しか使わなくても8年なのかもしれないが。もちろん保証期間とかではないし「平均」だというのが微妙なところ。(保証1年)まあ1年で壊れるようなものでもないだろうけど。


さて実際に動作させてみよう。サーキュレーターは一般的に扇風機よりも強力であるため騒音は激しい。

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ぶるおおおおおおおお
思った通り最小にしても決して静かではない。音量だけ考えるとそれなりの爆音。
ただ大口径であるためか、音のほとんどが送風音であり、耳障りな音ではない。モーター音やファンの風切り音、パーツ振動からくる耳障りな音は、最大にしてようやく混じり始める程度。かなりしっかりと作ってあるようだ。結果として会話やテレビの音声を邪魔せず、壁一枚でかなり減衰するタイプの音になっており、慣れるとあまり気にならなくなるだろう。
これが安物などになると、ファンやモーターの音がいらいらする程猛々しく鳴り響くので到底つけっぱなしにする気にならない。ボルネードは「音量自体は相当でかい」ことに留意すればマンションなどでも常用できるだろう。
また部屋数のある家ならば、扇風機と違って眼前に鎮座させずとも、玄関や窓の近くなどに置いても効果があるため騒音対策にもなるはず。

サーキュレーターは設置位置と角度を入念に吟味し、効果的に部屋の空気が回転するスイートスポットを見つけなければ効果的に使うことは出来ない。
さしあたり部屋のドアの近くから、斜めの角度で天井に当てるようにしてみると、風が壁を駆けぬけ、部屋の隅で椅子に腰掛ける僕の背中にそよ風が吹き当たった。なかなかに文学的だが、サーキュレーターの向きとまるで関係ない位置から風が来るということは、それだけ空気が回転しているということでありかなりの威力だ。

本来はエアコンなどの冷風を効果的に運ぶことが主目的だが、こうして部屋の空気を回しておくと扇風機の弱風より弱いほんのそよ風がふよふよと吹いてきて、非常に爽やか。

普段窓を開けても風が全く起こらないところでも容赦なく空気が流れていくため、壁や棚に紙や布などの装飾や置物がある場合はちょっと注意。また普段空気が淀んでいると思わぬところからホコリが舞い上がることもある。掃除をしよう(提案)そうでなくても空気が行き渡り、ホコリが一か所にたまらないのは悪いことではないはずだ。

他にも壁に向ける、縦にして吹き抜けを文字通り吹き抜けさせる、玄関でエアカーテンなど、向きと位置を変えて様々な使い方ができる。天井近くに設置して下向きの風を作ることもできるが、地面に置いて強めに回しておけばどのみち空気は循環するため、直接暑いとか寒いなどの温度による位置取りは考えなくてもいいようだ。あくまで空気をうまく回すことに注視して位置決めをすべき。

サーキュレーターのほかの用途として、洗濯物の乾燥などを早めることができる。同様に自分の体にあてて温泉湯上り気分なども良いが、当てすぎると冷えるので注意。熱に頼らない乾燥ができるのは色々活用が効く
また、部屋以外にも、地下だの物置だのをこの際まるっと換気するのも良い。そもそも扇風機よりずっと強い風力はDIYラーにはなにかしら便利に使える局面があるはず。風が吹くというだけでいろいろな活用が可能であるようだ。桶屋が儲かるだけのことはある。


このようにちょっと暮らしを快適にするサーキュレーターのレビューでありました。
空気がなければ生きられない我ら人類、空気には気を使って生きていきたいところです。あ、エコとかは割とどうでもいいです。

Vornado サーキュレーター(空気循環器) ブラック 【12~40畳用】 733BVornado サーキュレーター(空気循環器) ブラック 【12~40畳用】 733B
販売元:Vornado (ボルネード)

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買ったのはこれだけど、この値段はあまりお得でない。

Vornado サーキュレーター(空気循環器) ホワイト 【6~12畳用】  530JVornado サーキュレーター(空気循環器) ホワイト 【6~12畳用】 530J
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530Jもちょうどよい感じのよい子