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なんだかよくしらんけど電池入りでプルプルするT字カミソリくんの替え刃が切れた。
いや単にストックが無くなったということであり、刃が何らかの原因で真っ二つと言う事ではなく。

これは以前近場のスーパーで投げ売りしていたのを買ってきたものだが、4枚刃だの振動プルプルだのを備えているくせに1000円しなかったお買い得品。その分替え刃は4枚で1000円以上したりして、まあつまりはそういう商売なんでしょうね。
わたくしもいずれ金が有り余ったらレーザーかなんかでおひげ焼灼してしまおうとは考えているのだが、目下絶賛金欠中なのでそうもいかない。おとなしく替え刃あるいはカミソリを買う事にしたい。


さてまた同じスーパーに出向いて似たような安売り品を買っても良いが、せっかくだから2chと価格.comなどで現代カミソリ事情をチェックしてみる。


というわけで今回「両刃カミソリ」という伝統的なスタイルの剃刀に手を出してみたい。「クラシック・レイザー」タイプなどとも呼ばれるすなわち両端に刃のついた一枚の刃を、ホルダーにセットするタイプの剃刀だ。

…どうしてこうなった。たかが髭剃りではないか。そこらへんのジレットとかシックの刃がいっぱいついたおろし金みたいな奴買っときゃいいじゃん。
いやいつもの話じゃないですか。調べ始めちゃったら一番面白そうなものに手出しちゃうのいつものことじゃないですか。うう。

ブランドは「定番中の定番」「100年変わらないスタイル」等と恐れられる老舗中の老舗、ドイツゾーリンゲンはメルクール社の「Heavy Classic Double-Edged Safety Razor 34c」通称「334C」とか「Heavy Duty」とかそういうやつをチョイスした。

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どどん

現代のわたくし世代の若者、おろし金化を突き進むカミソリ事情の世に生きる20代から30代前半においては、このタイプのカミソリの実物を見たことがない人が多数だと思う。そしてこのタイプは実物を知らないとサッパリしくみがわかるまい。
しかしそんな人でもこれはどこかで見たことがあるのではないだろうか。

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両刃カミソリの替え刃


あっ!ジョジョの奇妙な冒険に出てくる奴だ!
とか
スケバンが手に握りこんでる奴だ!
とか
青年漫画などでナイフなどを使う危ない感じの「切り裂きジャック」系敵の刺客が、「ヒイッヒェッヒェ」とか下卑た笑いを漏らすその舌先に乗っかってじんわり血を出してる奴だ!
とか

あなたの知っているちょっと古めのメディア作品のどこかで登場した「俺の知ってるカミソリと全然違うんだけど作中でカミソリの刃が!とか言ってるから多分カミソリの一種であるらしい謎の長方形の刃」がまさにこれ用の替え刃なのである。
これを知らないとジェネレーションギャップになるのだろうかなあ。わたくし今年で27だが全然知らなかった。カミソリを調べて初めて詳細を知った次第。


ちなみに伝統的なカミソリと言うだけなら、床屋で使うストレートタイプやもっと遡ると専門の鍛冶が作る日本カミソリ等もあって、これはこれで実に物欲をそそる世界なのだが、ここまでいくと使うのに相当の修練を必要とするのでパス。

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今回はイギリスの髭剃りまわり専門の通販サイト「TraditionalShaving .co.uk」を利用した。
(サイトが繋がりにくい場合があるようだ)

またぞろ当たり前のように海外で買おうとしているが、メルクールは国内正規代理店が無いようで、売っていてもかなり高めのプライスタグを掲げている。
米アマゾンなどでは、334Cなら40ドル程度で買えるが、やはり送料はそれなりにかかってしまう。それでも国内よりは多少安いが、「多少」レベルの価格差で国内通販の速さと安心が買えるなら悩むレベル。

そこでこのイギリスのサイト。334C本体が30ポンド程度なのだが、なんと送料は2ポンド程度(334C単品を買った場合。重量による。)国内通販の送料より安い。こんなひどい話があるか。
さらには送付先を日本にすると、イギリス国内のVAT(消費税)を、面倒な計算やらなんやらを抜きに自動的に差っ引いて計算してくれる。具体的には今現在、英国のVATは20%と日本の昨今の消費税大騒ぎを見ると気が遠くなるほどの額(ただし食品など生活必需品は無税、燃料等は5%と合理的)であり、30ポンドの場合6ポンド程度となる。

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画像は333Cだが、VATとか送料に注目していただきたい。
なんだか更新がうまくいかなかったりする場合があるが、右上からバスケットを開き直すと適正になるようだ。

大抵この手のアイテムの価格は、その国のVAT込みで適正価格にしているフシがある。結果として免税がストレートにディスカウントになる。結局は送料含めて合計27ポンド程度。ん、なんだかVAT計算が合わんぞ。17.5%計算?まあいい。2012年6月現在レートで3300円程度で買えてしまうわけだ。
海外輸入では、VAT周りは代行を通すと免税にはならないし、そうでなくても何だかんだでスルーされる場合もあるようだがここは良心的かつ便利である。なんだかVAT計算が釈然としないが…。


せっかくなので評判の良いエジプト製の替え刃「Shark」と一緒に注文してみる。送料はちょっと増えて3ポンド程度になった。
注文はPaypalで一撃必殺で完了。アカウント登録すら必要なく、もう楽天などで買うのと手間は大差ないいきおい。


受注メールと準備メール、発送メールが来ておよそ10日で到着。

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思ったより小さい箱。最初替刃だけ来たのではあるまいかと疑ったがそんなことはなかった。

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なんかアメが出てきた。いやすげー派手な色だけどアメだよね?

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オマケか緩衝材の代わりか。ebayなどで日本からモノを郵送するとき緩衝材代わりにポテチなどを詰めて送ったら喜ばれたという話を聞くが、その亜種かしら。メルクールやシャークの付属品ということはないだろうから多分Traditional Shaving Company独自のオマケ。
味はフツーのアメだった。果汁っぽさもあとから出てきた。ガッツリ甘いんだけど、ステビアやら安い砂糖やらの味はしない。イギリス菓子ってそんな感じよね。安上がりに作ってるわけではなくきっちりしてるけど、だいたい不味いしたまにカビてるという。

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パッケージ。
びっくりするほど質素だが、質素以前にどこか古めかしいのが良い。

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純正替え刃一本が附属。
この「両刃ホルダー」タイプの「謎長方形刃」は共通規格であり、どこのメーカーでもおなじように装着できる。メルクールの純正刃は評判はいいが、10本で6ドル~8ドルあるいは900円程度とかなりバカ高い。

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ちなみにこちらが一緒に買ったエジプト(!)製替刃「Shark」 Traditional Shaving Companyでは替刃は2パックで1アイテムとして販売しており、基本的に1パックに5枚あるいは10枚封入されている。5枚入り2パックで2.5ポン ド。10枚で約300円。
同様の安い刃が米国アマゾンなどでは100本9ドルとかそういう感じで出てい る。さらにはダイソーでDorcoというメーカーの刃10本入りが売っているという話で、両刃カミソリの替刃のランニングコストは怖ろしく安く済ませるこ とができるようだ。もちろんそれぞれの刃に切れ味剃り心地の差があるのだろうけど。

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使い終わった刃を入れて安全に廃棄できるプラパックが主流だが、Sharkは単なる紙パックに紙包装だった。

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カラフルな包装が東欧~中東っぽいのは偏見かきのせいか。

もちろん我々日本人なら、国産の世界に名だたる刃物メーカー「フェザー」や「貝印」の替刃しか認めないのである、てな意気込みもじつに国粋主義的でよろしいのだがちっともよろしかねーが、最近じゃ両刃の替刃なんて薬局に出向いても売ってない場合すらあるのが困りもの。
ところでメルクール買うと替刃は5本や10本ついてくるという話を聞いていたが、ここで買ったものは1本だけだった。替刃も一緒に注文するようにしたい。

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本体。

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これでもかというほどのギンギラクロームメッキが施されたダイキャスト製である。ちょっと成形甘かったりして精密感や高級感はそこそこだが、ボディはガチガチに強靭強固高剛性。メルクールは我々人間の柔肌に対していったいどれだけの高剛性が必要だと思っているのかわからないが、このまま模型工作くらいなら工具利用できそうな硬さだ。

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意外とコンパクトでもある。5指全てで握りこんで把持するというよりつまみ持つようなイメージかしら。

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ピンバイスかなんかかってくらいの金属ハンドル。とは言え前述のようにあまり強く握るものでもないので、指が痛くなるということもないだろう。

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せっかくなので工具と並べてみた。区別がつかない。

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端部ハンドル部。メルクールのロゴも。

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端部をくるくる回すとヘッドが取れる。

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ここに刃を差し入れて再びヘッドを閉じ、くるくると固定するわけ。超単純構造だからこその高精度と頑丈さ。

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はめただけの状態。

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ネジを回して固定した状態。

このように剃刀の刃は微妙に湾曲して保持される。この角度付や保持のあれこれなどに小細工の余地があり、ホルダーの差別化もできるというわけだが334Cにはそのような軟弱なものはついていない。完全に締め切り固定である。

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裏から刃のメーカーを確認。いやそういうもんなのかは知らないが。

さてカミソリというからには剃ってみたい。まず1枚両刃のカミソリは複数枚刃に比べ、力が一点集中するため肌が切れやすいとされているので、何らかの潤滑剤があったほうが良い。正しい「ウェットシェービング」としてはクリームをブラシでもくもくと泡立てたものを塗りこんだりするのだが、さすがに毎朝そこまでやる時間はない。油を塗りこむ「オイルシェービング」にしておく。

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とりあえず何かと評判の良い「ホホバオイル」を無印良品で買ってきた。50mlで1000円程度とそれなりにイヤンな値段だ。
また、愛用のLUSHから「Dirtyシェービングクリーム」というシェービング(等)用クリームを仕入れる。というか前から使っている。 クリームとは言うが中身は植物系油脂が主で、オイルシェービングっぽい剃り心地を得られる。100gで1600円とこれまたイヤンな値段だが意外と量が多くて長持ちする。シェービングクリームと聞いて思い浮かべるメンソール系の刺激は全く無いので、個人的に気に入っている。

さてぞりぞりいってみよう。ぞりぞりね。
とはいえ顔とか見せる気はないので事後の感想のみ。


まず「刃の感触がちょうダイレクト」
これは刃が一枚というだけでは説明がつくまい。刃が肌に当たっている実感がものすごい臨場感をもって伝わってくる。怖いといえば怖いかもしれないが、刃が当たる感覚はむしろ床屋や美容院で例のプロ用ストレートタイプカミソリでじょりじょりと髭をそってもらう時の感覚に似ている。

同時に「ヒゲを剃る感覚がうるとらリアル」
そらリアルに髭剃ってんだから当たり前かもしれないが、複数枚刃はほとんど、肌の上を滑る潤滑ゴム部分の感触しか無いのに対し、334Cは「刃が肌の上を滑り、ヒゲを一本一本ずぶりずぶりと切っていく」感触が伝わってくるわけ。剃ってる実感がある。

そこら辺と関連して「コントロールが正確無比」。いったい刃が何処に当っているのか視覚でも触覚でもさっぱりわからん複数枚刃に比べ、両刃カミソリは「刃が一枚当たっている感覚の部分が剃れる」という確信を持てるため、小鼻の下などの細かいヒゲを捉えやすい。

「思うよりしっかり深剃り」できるのも特筆。一枚しか刃がないからそれほど深剃りはできないだろうと思いそうなところそんなことはなく、334Cのヘッド重量によって「刃の重みで切る」という刃物類の真髄を思い知らされる。「古臭い一枚刃」から想像するよりはるかにざっくり行くので、剃るときに不要な力を加えて肌に押し付けたりすると容赦なく血を見るハメになる。角度を維持してホルダーのもつ重みだけで剃るようにすべき。肌が弱い向きには、逆剃りは厳禁である。そんなことをしなくてもかなり深剃りできる。

「ホルダーの感覚が心地よい」のは想定外。とどのつまりメルクールのスーパー切れ味カミソリ刃がすごいんだろ、ってだけではない。前述のとおり絶妙な重さもあるし、ヘッド部分を彩る鏡かと思うようなテカテカクロームメッキ、あの部分が一般的なT字カミソリで言う潤滑ゴム部分の役割をし、素晴らしく肌触りが良い。俺が金属フェチだからという理由だけではなく、人肌に触れるように丁寧に処理された金属特有の安心感がある。いずれ乾いてしまうであろう、ジェル含有ゴムなどの第3者的な部材に頼らず、ボディの金属そのものを利用してなめらかな剃り心地を演出している。侮れない。

なにより「ガチムチ高剛性」である。なんかマウスの時にも似たような話したけど、指から先が信頼出来る。たわんだり歪んだりせず、思った力加減がダイレクトに伝わるのは道具として気持ちがいい。

このタイプのカミソリはあまり急がずゆっくり剃ることが肝要であるのだが、むしろこの使い心地は「ゆっくり剃りたくなる」気すらしてくる。

以上利点。フツーのT字カミソリから比べると異次元である。あの使い捨て前提の歯ブラシと大差ない奴らだったモノがこうも趣味的満足感と信頼感を与えてくれるものになるとは。

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欠点としてはあまりにダイレクトに「刃」「刃物」「ブレード」であるので、肌が弱かったりカミソリの扱いがへたくそだと、情け容赦なくお顔が紅く染まる。まあ刃が異常に鋭いだけあって、血が滲んでもすぐに止まってしまうのだが。とは言え我々は己の血を見るのが大好きな漫画のナイフ使い系悪役ではないので、血を見ないためにも角度を意識した上で、力を入れず、ホルダーの重みで剃るよう心がけたい。

また潤滑剤は好みにも寄るが、単なるスースーするローション的なシェービングジェルよりも、ちょっと凝ってシェービングオイルや泡立てを前提としたシェービングクリームを用いると良い。これまた同じくTraditional Shavingなどでも売っているシェービングクリームを泡立てるためのブラシ(野生のアナグマの毛がベストらしい)セットなどを揃えて専用の器でクリームをせっせと泡立てていると、髭剃りが何やら書道や茶道などにも似た、高い趣味性と精神性を兼ね備えた高尚な男の趣味に思えてくるだろう。ここまでいったらいよいよ病気だが、欧米などではその次元に近いものがあるらしい。ともかく潤滑剤にも気を使うべきだ。私が使ったホホバオイルなどもそのまま数滴垂らして頬に塗るだけなので割と良いです。

自信がない人はアメリカのこれまた髭剃り専門通販サイト「Shave Nation」の名物店主、バンダナ兄貴ことGeofatboy氏の髭剃りレクチャー動画などを見ると雰囲気がつかめる。英語わからなくてもなんとなく言いたいことはわかるはず。


まだ使い始めて日が浅いが、このタイプのカミソリは両手指で数えられる数使った程度のスパンで刃を交換していったほうがいいようだ。なんせ刃の一枚一枚がとてつもなくお安いため、気軽に変えられるというもの。海外通販に頼れば刃の選択肢も幅広く、色々と使い心地の差を楽しむことも出切る。

とまあメルクールのホルダーはともかく両刃カミソリの一般論まで語っちゃってるけど、普通は知ってるものなのかなあ。わたくし全然知らなかったんだけど。同じくらいの年代の人知ってたこれ?T字しか知らねえよホント。

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とにもかくにもとても趣味性の高いカミソリホルダーであるメルクール334C。これはもっておくべき逸品です。刃物はいいものを持つべきというのは趣味人の鉄則です。
何より「振動や複数刃や電動なんていらんかったんや!」てなことを言えると、これとても現代の便利に逆行する一癖も二癖もある変人趣味人っぽくて良いと思います。ついでにクリームとかブラシとかも仕入れたりし始めたら髭剃りがマジで趣味になるかもしれません。まあ世の中なんでも趣味があるもんだけど、髭剃りにこんな奥深い一面があるとはねえ。気づいたらそういうブラシとか買い漁ってても私のせいではないのだ。魅惑の趣味性が悪いのだ。


ちなみにメルクールは定番過ぎて女性にも愛用者が多々いる、という話を聞き、すわ男の娘文化はそんなところにまで、なんという僥倖!などと明後日もいいところの勘違いを一瞬だけやらかした自分は悪くないんです。そうなんです。というわけで体毛の処理にもお勧めなのです。


MERKUR(メルクール)髭剃り ひげそり両刃ホルダー333C
MERKUR(メルクール)髭剃り ひげそり両刃ホルダー333C

333Cというのもある。違いはよくわかんないけど値段はかなり違う。