時に人はあさましきよくぼうに負け、愚かしい選択をするものです。
お前の場合それ常態だろという悪魔の罵りをさておいて、今回の愚か☆チョイスはまたもマウスとなります。
入力機器マニアの血が疼いてしまったのです

Rat016


どでん

本日のマウスはMadcatz Cyborg R.A.T.5
イカしたゲーム機器を手掛けるMadcatz傘下のブランドCyborgから登場したゲーミングマウスだぁー!

Rat015

はい。

Rat017

はい。何これと言われましてもマウスですが。

はい。

Rat018

すごい形の箱を開けていきます。
はい次期トランスフォーマーのデストロン/ディセプティコン軍の小物メカではありません。マウスです。

いやいやそりゃまあちょっとは可動しますけどええ。はい。え、いえ別に羽は出ません。
え、なんですかなんですか。足とか車輪も出ませんよ。いや反重力スラスタとか何言ってんのあなた積んでませんて。何で動くのって手でしょ手。マニュピレータて、えちょっと何言ってんのかわかりませんね。いや中身は電力ですよ普通のUSB接続です。ええ。サイコフレームて。そういう精神感応で動いたりはちょっと、はい。はい、いやアンビリカルケーブルとかじゃなくてね。え、何いや別に出しませんよ何も。ビームもミサイルも出しませんて。いや実体弾がどうとかじゃなくて。はい。レーザーは出ますが。はい。は。いやあなた何言ってんですかマウスのレーザーですよ攻撃兵器じゃありませんて、ちょっとそこのあなたBMD構想とか何の話してんの。黙って。ええ。いや光子魚雷とかも積んでなくてね。なんでそう未来兵器に走るの。じゃなくて兵器じゃないから。はい。刃も出ないよ。他のマシンを攻撃とかしないって。何だよ他のマシンて。おもちゃで世界征服に走らないで。わかった。わかったから。マウスだからね。マウス。飛ばない。飛ばないよ。


Rat019

ブリスターに針金縛りされてるので取り出すときは注意。


Rat022

ずごおおぉおぉおぉお
がしゃこがしゃこうぃいいいいいいしゅぱあああああ

さてそんな溢れ出るたくさんの期待と気体とグリスと吸気音を裏切り、このルックスにしてその実体は、なんとただのマウスです。おどろくべきことにただのマウスです。
しかしいくらわたくしが入力機器マニアだとしても、いくらなんでも『超カッコいいから』だけで、こんなお安くないマウスを衝動買いはしないでしょう?

…しないでしょう?

え?

Rat020

付属品は、ウェイトひとそろいと説明書のみ。ドライバCDなどもなし



というわけでR.A.T.5の概要とステキポインツを写真を交えてご紹介

まずMadcatzおよびCyborgブランドについて


http://madcatz.co.jp/

すなわちゲームデバイス屋さんです。あまりゲーミングデバイス系の説明をしだすと、いったい何と戦ってるのかわからないような文章が出来上がるのでこの説明で終わり。

http://www.cyborggaming.com/

いやもうなんかわかったっしょ?ゲーミングデバイスでも特に見た目に本気出しちゃった系製品だとわかったでしょ?もう説明終わりぷんぷん。
とりあえずキーボードのVシリーズや、フライトシムスティックのF.L.Yシリーズ等、まちがいなく中二病系メカ的格好良さとしてはトップクラスブランド。Razerだとちょっとまた毛色が違うし、Steelseriesやらの本気アスリート系でもない。実用性は不明ながら、とてもおとこのこごころをくすぐるかっこよさ。中二病とも言、うというか普通はそう言う。

んでR.A.Tシリーズ。名前の由来は言うまでもなくラットです。ちなみにマウスとラットって何が違うのかというと種類が違います。「ネズミ」の英語が「マウス」というわけでなく、マウスはハツカネズミ系、ラットはドブネズミ系のいち種類なわけですね。ハムスターさんとかカピバラさんはマウスではないのです。言い表すならローデント(げっ歯動物)なのです。どうでもいい話になった。

Rat003

各部。角度によっては盛大にスカスカである。

Rat022


Rat004

まずボタン数は3クリック+ホイール、中央にDPI調整ボタン。
左クリックの隣にモード切替ボタン。これは押すたびにモード(ボタン割り当てなど)が切り替わり、最大3モード。
親指サイドに定番の進む戻る2ボタン。加えて押してる間だけDPIが下がるエイムボタン。
親指ちょっと上がった位置に横回転のホイール。

Rat025

このうちDPI上下とモード切り替えは機能決め打ちで、残りのサイド3ボタンと横ホイール(とホイールクリック)に自由に機能が割り当てられることになる。割り当てはマクロ可能。

外装はプラ部分はほぼ全てしっかりとラバー塗装され、グリップが良く質感も良い。
クリックも別段重かったり癖があるということもない。しっかりとした作りを感じる。

Rat024

ホイール。最近こういう、「ホイールが前面や下面まで露出してる」デザインのマウス増えたよね。エレコムのScopeNode以来だと思う。
ホイールは金属にゴム巻きの高級ぽい仕様。回転、押し込みともに適度にクリック感がある。チルト機能などはないが、その分ぐらついたりしない絶大な安定感。
DPI調整ボタンは前と後ろに動くタイプ。ちょっと固め。

Rat026

側面。Cyborgマークが怖い。


Rat023

赤いエイムボタンは、押している間だけDPIが下がり、離すと戻る。すなわちFPSなどにおいて、スナイパー狙撃するときに効果を発揮するというわけ。いいアイデアだが、一般的にはあまり使わないかもしれない。
サイドボタンはプラスチックで一見頼りなげだが、まじめに作ってあるようでグニャついたりしない。出っ張りが大きめで押しやすいが、横ホイールを回そうとするときに引っかかりそう。

Rat033

横ホイール。

この横ホイールが秀逸。がっちり金属製で幅も広く安定感がある作りで、クリック感も良い。
親指部に横方向回転する第二のホイールを取り付けるというのは、エレコムのダブルホイールマウス(生産終了)などの例があり、Excelを始めとして横スクロールに対して大変な威力を発揮する。実際、多くのマウスでは横スクロールをチルトホイールで行うが、あのチルトホイールというやつ、左右ボタンとしては良いがスクロールに利用することを考えると狂気の沙汰だ。ボタンを押しっぱなしでスクロールするのが鬱陶しいからホイールが生まれたというのに。

それにホイールクリックとの誤作動も、チルト機構における無視できないマイナスポイント。ホイールクリックによる中クリックは、スクロールなど押しっぱなしにする使い方が多いが、チルトの構造上、押し込みながら少しでも左右に傾けるとチルトが起動してしまう。横スクロールに割当たっているならば大した問題ではないが、ショートカットを割当てているとさまざまな不具合の原因となる。
ロジクールの金属ホイールの一部モデル(ホイール押し込みが中クリックでなく、機械的スクロール切り替え。中クリックは別ボタン)をわたくしが礼賛するのはこのあたりが理由。わたくしふだんはチルトを左右タブ切り替えなどに設定するのが好みで、チルトのないマウスはあまり買わない。R.A.Tに限っては、この横ホイールを同じ用途に設定できる、と睨んだ上で購入対象になった。

Rat032

謎の赤ケーブル。いや謎でも何でもなくサイドボタン用だろうけど、配置配色が上手い。

横ホイールの位置はチルトに比べると多少指が遠いが、慣れの範囲か。


Rat031

グリップは伸縮して調整する。ラッチを押し込み、引っ張ると動く。動きはスムーズ。溝が刻んである銀色パーツはプラ。

Rat030

グリップ裏にはゲーミングマウスの定番、重りによる調整。

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さて、果たしてマウスに重りなど必要なのかなあ、などと毎回思うのだが。ゲーマーロマン的には必要不可欠らしい。
かのSteelSeries社はオモリ付きマウスを否定するにあたり「スニーカーにオモリを付けて走るアスリートがおるか?いなァァァ~いッ!」と、ナチス軍人のような台詞を吐いたと、まことしやかに伝えられているというのは半分嘘だが、まさにそのとおりだと思う。
たぶんこのオモリ、いつもは最大限に重量を増やしておき、強敵が現れると「久々に本気を出す時が来たようだな…」的な不遜なセリフとともにマウスをせっせと解体し、内部のオモリをドスンと捨て去る(もちろん地面は凹む)。そして解説役の観衆から「あ、あいつ…ハンデを付けて今までプレイしていたのか!」と歓声を浴びながら、超絶スピードでマウスを駆る、というのが正しい使い方だと睨んでいるがどうか。何と戦っているんだ。


Rat021

上記の妄想はR.A.Tのキャラには非常に合ってる使い方であるとはいえようが、それでなくてもR.A.Tは非常に重いマウスなので、わたしは外して使わせて頂きます。そのうちフエラムネでも挟んで非常時のおやつにしよう。

Rat028

重い原因は裏面にある。このシルバー部分すべてアルミの金属フレームである。メッキプラではない。それもアルミ材の厚さもかなりのもの。

Rat008

格好もいいが、この点が非常に気に入った。この金属フレームのお陰で、フランケン感あふれる外見とは裏腹にマウス筐体の剛性はガチガチに高い。握ってもきしみ一つ無い。

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クルマじゃあるまいし、手先で動かす10cm程度のプラ塊相手に、「剛性」などという物々しい単語を持ちだすのも、ちょっとコロコロコミック的世界に片足を踏み込んだ発言だが、絶大なる剛性感は普通に動かすだけでも安心感があり、満足感は非常に高い。
ちなみに、ソールはフッ素系のいつものやつだと思われるが、それと別にCEマーク等を表記するシールが貼ってある。QCKなどのやわらか系マウスパッドだと、これが意外と引っかかり感がある。剥がしたいのだが大丈夫だろうか。

Rat027

小指側パーツ。接地面から小指を保護する仕組みはないが、ラバー塗装のグリップ感で適度に小指は固定される

Rat007

上位機種のR.A.T.7とR.A.T.9は、親指パーツの位置なども調整できる。
小指が置かれる部分に至っては、位置調整はもちろん、廂状にのびて小指を載せられるパーツに換装もできる。
グリップのパーツ換装などもでき、「俺様仕様にいじくり回したぜ」的サティスファクションを満たしてくれるが、わたくしとしてはそこまで奇怪な形状の手のひらを持っているわけではないので、R.A.T.5くらいで十分だと思う。

ちなみに、R.A.T.7とR.A.T.9の差異はワイヤレス対応かどうか。よくこの外観にバッテリーを搭載できたものだと感動する。
そして7と5の差異はレーザーセンサーのグレードと、上記の調整部分がはめ殺しで機能しないところ。
さらに下位モデルのR.A.T.3というのもあるが、これに至っては、
・レーザーセンサーのグレード低下
・金属パーツ全廃でプラスチック
・調整機能は重りまで含めて全廃
・横ホイールとエイミングボタンも撤廃
と、残った機能はDPI調節とモード切替のみという、完全にScopeNodeもびっくりの、ハリボテマウスになり下がる。さすがにこれを5000円で買う人間はいないと思うのだが。

メイングレードたるR.A.T.7には白いのとかオレンジ色のとかに換装パーツバリエーションが付いたバリエーションモデルもある。また、ボタン数が劇的に増大したM.M.O.7というモデルもある。
言うまでもなくどれもちょっと躊躇するお値段。

Rat035

ケーブル部。布巻きは埃がたまるデメリットもあるが、言うまでもなく恰好良い。ならば許す。硬さは比較的やわらかいため取り回しは楽そう。

Rat036

プラグ部は金メッキされている。基部も普通の大きさ。
またCyborgマークだが、こいつどっかで見たような気がする。遊戯王のサイコ・ショッカーさんとか。

そういえばワイヤードマウスを買ったのって、ロジクールの業務用1000円マウス以来かもしれない。無線派としては、本当はR.A.T9が欲しかったのだが高すぎてあきらめた。

Rat011

最後に重要なことをお伝えし忘れていた。
つなぐと光る。
光るのだ!
はい。
この光るCyborgマークは、モード切り替えボタンを押すと色が赤→青→紫に変化。つまり色で現在のモード3つを表すというわけだ。反対側はDPIのインジケータで、4段階あるがこちらは赤にしか光らない。


Rat001

ドライバ及びソフトは、Cyborgのサイトよりダウンロード可能だ。いわゆるSetpoint等と同様、自前のアプリでキーアサインを設定する。

Rat002

こんなの。モードは3モード。ボタンは同時押しや時間差まで含めたマクロ可能。


Rat012

実際に動かしてみると、前述のとおりまず絶大な剛性感にしびれる。マウスで金属フレームシャーシのものなど数えるほどしかないが、それだけにこの剛性は異次元仕様だ。

エイムボタンも、思ったよりは使い勝手が良い。ゲームで思ったような動きをしてくれるのはまあ当然として、さすがにブラウザを使っている時、リンクを狙撃するかのごとき手つきで狙うのがよいとか悪いとかの話ではないが、ドローソフトや、3Dモデリングをはじめとするクリエイティブ要素では、細かいところを狙い撃つごとき動作も多い。そういう場合に、意外とこの狙撃モードが有用。
ゲーム画面をキャプチャしてMADを作る際、ステディカムのようにカメラワークをなめらかにするなどの用途にも使えそうだが、ニッチすぎてどうでもいいか。

横ホイールは素晴らしい。タブ切り替えにも使えるし、前述のクリエイティブ用途では横スクロールに使えば良い。ソフトによっては横スクロールに対応していないので、設定を色々と練る必要があるが、いっそ全然別の用途でも良いわけだ。

DPI切り替えは使わない。まあいつものことだが。

Rat037

G700と比べる。

Rat013


Rat038

見た感じのごつさに比べ、本体は意外と薄い。重心の低さは美徳。



マイナス点を挙げるとすると、まず重さ。金属多用の証明でもある。個人的には重めのマウスが好きなので、それはそれでいいのだけど、ウェイトをすべて外しても、これはちょっと重いと感じる人が多くてもいたしかたない程度の重量はある。

次に、全く眼中になかった致命的な点として、マウスボタンの割り当てに対して「アプリによって切り替える」という概念が無いこと。
つまり横ホイールに対し

1:Ctrl+Tab ブラウザでタブ切り替えを堪能
2:横スクロール ドローソフトなどで横にスクロール

と設定する。この時、ロジクールのSetpoint等「アプリによってアサインが自動変更できるもの」は、予め設定をしておけば、ウィンドウを切り替えるだけで横ホイールの機能が「Ctrl+Tab⇔横スクロール」に自動的に切り替わる。
しかしR.A.Tの場合、横のモード切替スイッチを押して、自分でモード切り替えを行う必要があるというわけ。

3モードしか無い事自体は、やりくりすれば足りるかもしれないが、問題は2から1に戻ろうとする際、モードが123の順次切り替えなので、ボタンを2度押さなければならないということ。面倒くさいし、モードが色でわかると言えども、手元を見なければならないのでやっぱり面倒くさい。
どうせ本体メモリなどの仕様があるわけではないのだから、ソフト側で対応を望みたいところ。

ついでに、と言っては何だが、DPI上下のボタンがそれ以外に割り当てられないのも少々不便だ。このボタンはなかなか立地の良いところに設置されており、これを他機能に割り当てる設定があっても良いと思った。


さて個人的なマイナス点や利点はこんなところだが、実際これをゲームで使うとどうか?となると、やはりちょっと厳しいのではないかと言わざるを得ない。
エイムボタンや横スクロールなど、FPSでのアドバンテージがあるのは確かだが、いかんせん重量も重く、本体メモリもなく、割り当てられるボタンもそう多いわけではない。ゲームを本当に考えるならば、この値段でもっといい選択肢はたくさんある。M.M.O.7ならばボタン数も多く、想定するゲームのタイプからして、重さもさほど問題ではないだろうが、それならばG700やNagaなどの強敵が半値で買えたりするわけで、カッコ以外の利点が今一つ見出せない。
そうカッコである。カッコだけならおそらく現行最強。Alienwareあたりの付属マウスにしてもいいくらいのぶっ飛んだカッコは、それだけで大きな魅力だ。魅力だよね?よね?

しかしカッコツケマウスであると同時に、単に机の上をゲーミング仕様()っぽくするオブジェでは終わらない実力は確かにある。高級感や剛性感、横スクロールについてはむしろ高級オフィスマウスにこそ取り入れてほしい要素。
このマウス、じつは「ゲーマー志向」なのは見た目だけで、実体はかなりの「日常的実用志向」なのだ。その横ホイールをExcelで使うためにエレコムマウスの後継として会社で使うという猛者が出るほどに、「仕事に使える」マウスだったりする。まあこれを会社で使うのも勇気がいるけど。

変にゲーマーで中二病な見た目に、どうせ実物はぺなぺなの安っぽい筺体だろう、と邪推を生んでしまうだろうが、実際に触れると、びっくりするほどまともに作ってあることが分かる。また同時に、以外に実用性に富むこと、そしてまともな質感にしてこのぶっ飛んだ中二病デザイン、という点がまた物欲をそそる。それがR.A.Tというマウスだ。

物欲を満たすべくモノを作っている、という点だけでわたくしは諸手上げで評価するしかない。
あさましきよくぼうに負けて買った私だが、これは決して愚かしい選択などではなかったと思う。
まあでも6980円はちょっと、その、ねえ。うん。いや外装パージしてスーパーモードとかにはならないってば。


Cyborg R.A.T. 3 Gaming Mouse for PC & Mac (日本語版)(MC-RAT3)
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Saitek ゲーミングマウス Mad Catz Cyborg R.A.T. 5 Gaming Mouse for PC
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Cyborg R.A.T. 7 Gaming Mouse for PC  ゲーミングマウス
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Saitek ゲーミングマウス Mad Catz Cyborg R.A.T. 9 Gaming Mouse
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